Beloved feeling

□*sixteen*
2ページ/7ページ


海沿いにあるらしいその施設も近いのが分かる

名取は俺達が喜んでいるのを見て
車を海沿いに合わせて車を走らせてくれる

喜んで見ていると、車が山沿いへと入っていく
「ごめんね、また海は見られるから」
名取が申し訳なさそうに呟く
その言葉に少し苦笑する
「施設からでも海が見えるよ、多分な」
「うん・・ありがとう」
名取の方を向いて、お礼を言うたろの頭を撫でる手が優しい

海に近いその施設に着くと、あまりの大きさに目を見張る
門から入っても庭の広さに目を見張り
建物も大きくて、中庭では散歩している人や
オープンカフェで談笑している人が見える
当然だが老人ばかりだ

施設の中なのにきちんと洋服を着て、女性も綺麗なワンピースや
男性はシャツにスラックス姿の人までいる

来客用の駐車用スペースに車を入れて、大きな玄関に入る
大きなテーブルの上に大きな壺に生けられた花
まるでホテルのロビーのような感じで
俺たちが入って行くと、受付のお姉さんが立ち上がり
にっこりと微笑まれる

訪問の内容と、会いたいじいじこと西條春國(ハルクニ)さんへの面会をお願いする
しばらくロビーでぼんやりしていると
たろは、テーブルによじのぼり花をしきりと触っている
誰にも見咎められる事が無いので、放って置いたが
通りがかる職員の人が、誰も触ってないのに
動いている花を見て、胡散臭そうな顔をして通り過ぎているのが可笑しかった

名取も伊達眼鏡を指で押し上げながらニヤリと笑い
「そら・・気持ち悪いよな」
「だな・・・」
いつもと違う、眼鏡姿の横顔を繁々と見ていると
「俺が格好良いのは知ってるから・・そんな見るなよ」
とクスと笑う
「・・・・すごい・・・自信だな」
「ありがと」
「褒めてね〜」
そんなやりとりをしていると、お姉さんが戻ってきて案内してもらう
来客用の談笑スペースなのか、開けた空間に大きな窓があり
明るくて開放的なスペースにテーブルが点在している

オープンデッキのカフェスペースもあり
暑いので、日陰のスペースは一杯になっている
気持ちのいい施設だなと思う
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ