HP and SB 1 ○アズカバン編

□4 プラチナブロンド
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翌日朝、ハーマイオニーが起きるとレイは既に部屋に居なかった。仕方なく1人で大広間に向かうと、途中の廊下でレイを見つけた。
「どこいってたの?」
「朝早くに起きてしまったから散歩してたの。そしたらまた迷っちゃった 」
のほほんとしたレイにハーマイオニーはため息をはく。因みにレイは元通りのサイズに戻っていた。
「散歩は構わないけど、もう少し警戒心ってのをもちなさいよ?」
「警戒心ー?」
「あなたったらだれかれ構わず着いていきそうなんだもの」
実際のところ、このたった二日間でレイに興味を示す男子生徒は増えて来ていた。本人には欠片も自覚がなさそうだが。
大広間について食事を開始する。レイはドライストロベリーとひまわりの種がたっぷり入ったシリアルをお玉一杯だけついで、牛乳を注いだ。
「「おはよう姫、ハーマイオニー」」
双子が登場し、その後ハリーとロンが登場する。
「今日の最初は魔法生物飼育学よね」
ハーマイオニーはうきうきしながら話した。
「ハグリット大丈夫かなぁ」
「なんてったってスリザリンとの合同授業だからなぁ」
ハリーとロンは心配そうだ。
一方のレイはもくもくとシリアルを食べている。
「問題はハグリットが何の生物を持ってくるかだよなぁ‥‥」
「アラゴグをかわいいっていうんだから簡単じゃあないぜ」
レイが食べ終えると、ジョージが紅茶を渡してくれた。
「ちょっと安心したよ」
なにが?と首を傾げてきくレイに、ジョージは笑った。
「初めてちゃんとご飯らしいものたべてたから」
そういわれると苦笑するしかなかった。
するといつものように頭をぽんぽんしてくれた。


「今日はお前さんたちにいいもんをみしてやる。さあ、ついてこいや‥‥」
ハグリットに連れられて禁じられた森を進む。朝の森は木々がキラキラしていて、とてもキレイだった。
ハグリットは教科書の49ページを開いてくれといった。すかさずドラコが嫌みったらしく言う。
「どうやって開くんですかね?」
「背表紙をなでるだけだ。そしたら大人しくなる」
みんながため息をつく。それぞれこの本に苦しめられてきたのだ。
「さて、ここだ」
そこにいたのは美しい‥‥
「ヒッポグリフ!」
レイは嬉しそうに微笑んだ。
「そうだレイ。こいつらはヒッポグリフっちゅー生き物だ。最初にいっちょくが、こいつらはとにかく誇りだかい。ぜってーにこいつらを侮辱しちゃーなんねぇ。さて、だれから挨拶するか?」
ハリーとレイがヒッポグリフを見ている間に残りのみんなは後ろに5歩ほど下がった。
「おお、レイとハリーか。やる気充分だな」
「「へ?」」
振り替えるとみんなは大分後ろ。なるほど、前に進み出たように見えるだろう。
「よしハリー、お前さんはバックビークだ。まざぁ少し距離をつめて‥‥頭を下げて、お辞儀‥‥」
一瞬バックビークが前に飛び出すかに見えて、ハーマイオニーがロンの手を握ってしまったことを、ハリーとレイは知らない。
バックビークはお辞儀をかえし、ハリーを認めた。ハリーは近づいて、頭を撫でた。バックビークは気持ち良さそうだ。
「よぉし、レイお前さんはアンジェリークだ。黒い羽根がキレイだろぅ?」
「とてもキレイね」
レイも難なくお辞儀でき、アンジェリークを撫でていた。そんな二人の様子を見て、みんなも緊張をほぐしていく。
「二人とも気に入られた様だなぁ。きっと乗せてくれるにちがいねぇ」
「へ?」
ハグリットは突然のことに驚くハリーをひょいとバックビークにのせた。
「羽根を抜かないようにな。嫌がるぞ。ほい、バックビーク、いけ!」
そしてバックビークは走りだし、どんどん加速し、大空に舞い上がった。
グリフィンドールの大きな歓声。
「空を飛んでるヒッポグリフってとってもキレイね」
「お前さんもいってこい、ほら、アンジェリーク!」
レイも細い腕でアンジェリークにつかまり、加速の勢いにどうにか耐え、ハリーを追いかけて大空に駆け出した。

箒にのったことのないレイにとって、これは初めての大空だった。
昇ってしまえば風はそれほど感じずに心地よい。空からみるホグワーツはとてもキレイで、こんな解放感は味わったことがなかった。
湖の上を飛ぶハリーとバックビークを見つけるとアンジェリークはそちらに向かった。追い付いて隣に並ぶとハリーと目があった。お互いに最高に楽しそうな顔をしていた。
くるくるとぶつからない距離で旋回しながら二人と二頭はハグリットのもとに戻った。グリフィンドールのものすごい歓声が迎えてくれた。
「俺の初授業はどうだ?」
「「もう最高!」」
ハグリットは照れたように笑った。

そこまではよかったのだ。みんながそれぞれ何人かずつ、ヒッポグリフとの交流を始めた。
そこで今までの流れが気にくわなかったらしいドラコがつかつかとバックビークに近づいた。
レイはなんだか心配で見守っていたのだが、ドラコはちゃんとお辞儀をし、バックビークはそれに返したので安心した。ところがバックビークに近づいたドラコはとんでもないことを口にした。
「お前、全くあぶなくないじゃないか。‥‥醜いウスノロのデカブツ君?」
途端、バックビークの目が光るのがわかった。そしてバックビークはドラコに襲いかかった。
「‥‥くはぁ!」
ドラコの腕が引き裂かれる。でも腕で済んだのは‥‥自分を押し倒した影のせいだとドラコはわかった。
「「「レイ!?」」」
ドラコの腕をかすったのとは違う方の爪が見事にレイの背中を裂いていた。
「‥‥‥‥レイ!?」
その影が何者か気づいて、ドラコは動いてレイを膝の上に抱えた。
「もう‥‥ハグリット先生が侮辱するなっていったのに‥‥」
レイは困ったように言った。
「授業はおしまいだ!レイを保健室につれてかにゃならん!マルフォイ、お前さんは歩けるな」
そうして楽しかった魔法生物飼育学は突如として終わったのだった。
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