HP and SB 1 ○アズカバン編

□8 いらだちは誰しも
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日々は飛ぶように過ぎた。
ラベンダーとパーバティがトレローニーを信仰しだしたり、バックビークの件が裁判沙汰になる可能性が浮上したりしたが、忙しく学生生活を送るうちにはらはらと雪が舞う季節になった。ナルシッサからは沢山の上質な冬服やコートが届いた。レイは手紙を送るのは校外ではナルシッサだけだったが、そのせいもあって実に頻繁にやりとりをしていたので、丁寧にお礼を書いて送った。レイの私室でドラコと二人で取った写真と、手作りのクッキーを添えて。

「ホグズミート?明日の?」
レイの部屋で夕御飯を食べながらフレッドとジョージは得意顔で話した。
「ハリーが最近落ち込んでるだろ?」
「ホグズミートにいけないこと」
レイがコクンと頷くと、ふたりは続けた。
「だから手助けしてやろうと思って」
「とっておきのプレゼントさ」
そういって古い羊皮紙を取り出す。
「「我、良からぬことを企む者なり」」
すると羊皮紙にはホグワーツの地図と、足跡、沢山の名前が浮かび出た。
「これを使ってホグズミートに抜け出すのさ」
レイも流石に目を丸くした。
「すごいわ、これ‥‥。ムーニー、ワームテール、パッドフッド、プロングス‥‥」
「こいつには散々お世話になった。でも今必用なのは俺達じゃない、ハリーだ」
ジョージは穏やかにいった。
「もう城を抜け出す道は全て知ったしね」
フレッドも笑う。
「ハリーのために‥‥ありがとう」
レイは親友としてお礼をいった。
これでハリーが元気になれると思って。

翌日、今日のホグズミートは双子といく予定だったレイはハーマイオニーとロンを送り出した。
「‥‥あら、来たみたいね」
ホグズミートにいく一向について、姿が見えない足跡が一組。
それをみかけた双子はハリーの両腕(があると思われるあたり)をつかんで脇に連れてきた。
「なにをするの!?ホグズミートに行きたいんだ!」
喚めきながらハリーは透明マントを脱いだ。
「もっといい方法がある」
ジョージは言った。
「ハリー、上級生の仲間入りだ」
フレッドはそういって例の羊皮紙を出した。
「‥‥なに、このボロクズは」
ハリーは訝しげに羊皮紙をみた。
「まあまあ、ハリー。双子はハリーのためにここにいるのよ」
「‥‥レイ、いたのかい」
そんなこんなでフレッドは羊皮紙に杖を向けた。
「「我、良からぬことを企む者なり」」
そして忍びの地図は現れる。
感激するハリーを送り出し、3人は堂々とホグズミートに向かった。
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