HP and SB 3 ○騎士団編

□1 the Order of the Phoenix
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するとレイの後ろから賑やかな声が聞こえてきた。
「ねえ、君さ」
話しかけられて後ろをむけば、ぽっちゃりではすませられないサイズの男の子が何人かの友人を連れていた。
「よかったら遊ばない?俺、この辺詳しいけど」
レイは思い出した。去年ハリーを迎えに行った時に窓から見ていた少年だ。つまり彼がダドリーだろう。

「ごめんなさい、用事があって」
そういうとダドリーの方もしばらく固まった。
「‥‥‥‥ハリーの友達?」
レイは表情を押し殺して笑った。
「ハリー?誰のこと?」
ダドリーはレイの微笑みをみると頬を緩め、疑うことはなかった。
「用事って?」
「あー‥‥今から帰るところなの」
ダドリーは送っていくと言った。随分とレイがお気に召したらしい。
「ううん、もうすぐ近くなの、だから大丈夫‥‥」
なんとかダーズリーを振り切って前に進んだ。レイの思惑とは違ってハリーに背を向ける形になり、非常に不安だがここで戻るわけにはいかない。

いくらか歩いて戻ろう、実際はレイが神経質にならなくてもマンダンガスがいるはずだ、とレイは考えた。
その時だった。さっと血の気が引く感覚がし、レイは道路に膝をついた。
「‥‥なに?」
それから二年前のクリスマス、ヴォルデモートの復活の夜が頭に浮かぶ。
「ディメンター‥‥!」
レイは確信した。ディメンターがいる。
そしてそれならば、ターゲットが誰だかも。


レイはUターンして走った。視界にはすでにあの黒いマントの巨体が2体見える。
「エクスペクトパトローナム!」
ハリーが守護霊を召喚しようとした。しかし弱々しいものだ。よく見ればハリーはダドリーを庇っている。ディメンターの手がマントの下から出てきてハリーに伸びる。
「「エクスペクトパトローナム!」」
ハリーの杖から牡鹿が飛び出すのと、レイの杖から不死鳥が飛び出すのが同時だった。街頭もろくにない暗い路地が灯りに照らされる。
2体のディメンターは光にひより、空に逃げていった。

ハリーが膝をつく。
「ハリー!」
レイは速度を緩めることなくハリーに近づいた。
「レイ!何で‥‥君‥‥」
ハリーは訳がわからないという顔をしている。
「早く家へ!」
それからレイはまだ飛んでいる不死鳥を手に止めると呟いた。
「リトルウィンジングに2体のディメンター‥‥ハリーは魔法を使ったわ‥‥至急応援を!」
それからレイは腕を振り、不死鳥は一瞬で遠くに飛び去った。

ハリーが固まっていると、近所にすむ変わり者のフィッグおばさんがスリッパのまま駆けつけた。
「ルーピン!どういうことだい!」
「ディメンターが現れました。本部には連絡をしました。フィッグおばさんも続報を待ってください」
フィッグは深く頷いた。
「あんたがいてよかった、マンダンガスめ、あたしが殺してやる!」
すたすたと家に戻るフィッグを見て、ハリーは耐えきれず問いかけた。

「フィッグおばさんは魔女なの──?」
レイは首を振ってから、座り込んでとてもレイでは動かせないダドリーに杖を向けた。
「エレクト、モビリコーパス」
レイは魔法でダドリーを立たせて、その状態で浮かせた。それからゆっくりうごかし、まるで一緒に歩いているかのようにする。足は動いていないが。
「違う、あの人はスクイブなの。ダンブルドアの命令であなたを見守っていた」
レイは鋭い視線で辺りを見ながら答えた。
「まずいことになったわ。いい?ハリー聞いて。とにかく時間がない。質問はしないで言うことを聞いてほしいの」
ハリーは非常に不満だったが、レイの目がいつになく真剣だったので無理やり頷かせられる。

「いまからダーズリー家に戻るの。こちらから合図があるまで絶対に家をでないで。絶対に」
「いつ、どんな合図があるの?」
ハリーは言った後で質問だと気がついたが、レイは答えてくれた。
「わからないけれど、わたし、リーマス、シリウスのだれかが行くと思う。それまでは、例え魔法省から手紙がきても、魔法省の役人がきても家を出ないで。あと、ひどい注文だけれど魔法は使わないで」
ハリーから戸惑いが感じられた。
「魔法省の役人がくるの‥‥?」
「来ないようにいま動いているはずだけれど、わからないわ」
ダーズリー家はすぐそこだった。
「でもまたディメンターがきたら?」
「わたしが来させない。いい?家をでないで、魔法を使わない。もし時間に余裕があるなら荷物をまとめていて」
レイはハリーにダドリーを背負わせた。それから玄関を開ける。
「じゃあね」


それからレイはプリペット通りに結界や魔よけを敷いてまてまわった。それから一時間ほどでリーマスが現れる。
「君の危惧した状況になってしまったね。しかし反応が早かったことで、ダンブルドアが手を打てた。ハリーは即退学になるところを12日の懲戒尋問次第となった」
レイはほっとしていいのやら悪いのやらわからなかった。
「本部に戻ろう、レイ」
「いいえ、ここにいるわ。またディメンターが来るかもしれないって言ったハリーに、わたしが防ぐって言ったの」
レイは首を振ったが、リーマスは微笑んだ。
「大丈夫、ちゃんと交代制で回すから。それに次の当番はエメリーンだ。マンダンガスのようにすっぽかしたりしない」
リーマスにそういわれると、レイは粘るわけには行かなかった。
「まずはこれを食べて、本部に飛ぼう」
リーマスはチョコレートを差し出した。
「君もディメンターに遭遇したんだからね、断らないでおくれ」
レイは苦笑してチョコレートをかじった。やっとそこで一息つける。レイは自分が随分と神経質になっていたことがわかった。
「ありがとう、大丈夫」
リーマスはにっこり笑った。
その後、バチっという音が二回して、二人の影がプリペット通りから消えた。




あとがき

始まりました、騎士団編です.
レイちゃんが箒乗れないの忘れてて危うく先発護衛隊に入れるところでした‥‥(((・・;)

原作の騎士団の仕事が意外と地味そうなので(コラ)結構その辺は妄想しました.笑
あと原作ではシリウスが、「騎士団のためにわたしができることはほとんどない‥‥少なくともダンブルドアはそう思っている」なんて切ないセリフがあるんですが、この世界ではバンバン働いて貰います.笑
あと騎士団原作読み返してて思いましたけど、リーマス好きの贔屓目抜きにして、リーマス活躍してますね、冒頭!いろんなところでまとめ役で‥‥さすがリーマス!今作も出番は超あるので!笑

それではまた次章で!
騎士団編もよろしくお願いいたします(*^^*)
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