HP and SB 3 ○騎士団編

□1 the Order of the Phoenix
1ページ/5ページ



レイはリーマスに持ってきてもらったホグワーツのトランクの中から紺色のワンピースを取り出した。手早く着替えるとすべての荷物をトランクにしまい、小さなショルダーに杖をなおす。梛の杖ではなく、樫の杖だ。レイの能力を最大限に活かす杖は、ヴォルデモート復活の際にデスイーターにとられたままだった。
黒の細く長いリボンで髪の毛をポニーテールにした。この一年以上レイと共にあった簪も、あの墓場に忘れられたままだ。
「準備はできたかい?」
そのころにちょうどリーマスが現れる。
「ええ」
「ではいこう。ロコモータートランク!」
リーマスがトランクを動かした。
「本部でみんなが待っているよ」


「レイ!来た──ぞ?」
ウィーズリー家の子供達四人が聖マンゴのレイの病室を訪れた。
夏休みになってからずっと両親にせがんでいたのだが、今日までくることができなかったのだ。今両親は同じくロンドンにおり、夕方に落ち合うことになっている。
部屋はレイが目覚めた日よりもさらに閑散としており、ベッドの脇には女性が立っていた。
「ルーピンさんですか?先ほど退院されましたが」
ベッドを整理していたナースが言った。
「「「「へ?」」」」


聖マンゴ魔法疾患傷害病院の裏口に出る。
リーマスの腕に手をおけば、バチっという音と共にリーマスが姿くらましした。
目を開ければ寂れた区画にでるが、ここもロンドンだ。
(グリモードプレイス12番地)
事前に聞いていた通りに思い浮かべれば、まわりの建物を押し退けて古い館が現れる。
「おいで」
リーマスに案内されるまま、レイは館に入った。

「ヘクッ‥‥」
あまりの埃っぽさにくしゃみがでる。
館の玄関はくらかった。しかしレイが入れば飛び付いてくる影がある。
「ヒソク!」
第三の課題から入院していて会えなかった愛猫は、しなやかな動きでレイにすり寄った。
「ほったからしでごめんね‥‥」
ヒソクとトクサは(驚くべきことに)セブルスが学校からつれてきてくれたらしい。ここ、グリモードプレイス12番地ブラック邸、不死鳥の騎士団本部に。
「まあ、レイ!」
ホールの一番奥の扉からモリーが現れた。
「あなたがここに今日来るとは知らなかったわ‥‥ロンたちが聖マンゴにお見舞いにいったんだけど‥‥体はもういいの?」
モリーはレイを抱き締めながら言った。
「はい、大丈夫です。それならロンたちとは入れ違いになってしまいましたね‥‥」
「さあ、会議を始めないと。モリー、レイ、入って」
リーマスは穏やかにモリーがでてきた扉に促した。
モリーは訝しげにレイとリーマスを見比べながら、ホールに入る。


会議のために集められた人々は20人以上だった。世にいうお誕生日席にはダンブルドアがいる。
「これでそろったの」
リーマスとレイが空いている席に座れば、ダンブルドアが言った。
「今日ここに集まってもらった者たちが、現時点での第二期不死鳥の騎士団じゃ」
部屋の中がざわざわとわいた。レイは多くの視線を感じる。レイにとっては不本意だが、レイは2歳年下のハリーたちよりもさらに幼く見えてしまうので、仕方ないことかもしれない。
「ミネルバ・マクゴナガル‥‥シリウス・ブラック‥‥リーマス・ルーピン‥‥ルビウス・ハグリット‥‥」
ダンブルドアが名前を呼べばそれぞれが軽くお辞儀した。
「‥‥‥‥それに加えて今期から騎士団に加わってくれた者たち、まずはアーサー・ウィーズリー、それからモリー・ウィーズリー‥‥ビル・ウィーズリー、チャーリー・ウィーズリー‥‥ニンファドーラ・トンクス‥‥」
ダンブルドアは順に名前を言っていった。
「そして、レイ・ハヅキ・ルーピンじゃ」
「お言葉ですが、ダンブルドア」
モリーが我慢できなくなったように発言した。
「レイはまだ学生です!学生は騎士団に入れないのでは?」
辺りから、確かに若すぎるとの声が多々上がった。
「レイについては例外中の例外となるじゃろう。リーマスとも散々言い合ったのじゃが、レイは騎士団に入る前から騎士団の一員じゃったのじゃ、騎士団を考案したミオ・バーユェとの不思議な繋がりでの」
誰もが理解できずに首をかしげた。
「"こう見えて"レイは成人しておる。ハリーと同じ学年の同じ寮で、最も近くに居ることもできる。そしてヴォルデモート復活の夜には、ひとりでデスイーター20人を倒した実力も持っておる」
こう見えて、の言い回しに少しの不満を持ちつつ、デスイーターの件は実力ではないのだけれど、とレイは思った。しかしここで脱退するような情けないことにはなりたくない。
「わたしは大丈夫です。必ずお役にたちます」
レイが凛とした態度で言えば、ダンブルドアからの信頼もあってみんな納得したようだった。モリーを除いては。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ