HP and SB 3 ○騎士団編

□2 growing apart
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プリペット通りにディメンターが現れてから四日目の朝。
不死鳥の騎士団本部では会議の末、本日のハリーの移送について詳細が決まった。
「よし、なら先発護衛隊はわし、リーマス、トンクス、キングズリー、ディーダラス、ドージ、エメリーン、スタージス、ヘスチアの9人。後発護衛隊はシリウス、レイ、マンダンガス、ビルの4人だ。後発が出ることのないようにしたいがな。先発は後発が周囲の安全確認をしたあとで出すサインを合図に移送を始める」
メンバーはそれぞれに頷いた。

「しかしレイ、箒に乗れないのは痛い」
ムーディは魔法の目をぐるりと回しながら言った。クラウチジュニアが使ってから義眼の調子が悪いらしい。
「大丈夫、バックビークに乗るもの」
フン、とムーディは息を吐いた。
「トンクス、叔父たちを家から出せそうか?」
「ええ、ちゃんと準備はしたわ。"全英郊外芝生手入れコンテスト"で最終候補に残ったってマグルの郵便でだしたから」
今度はムーディはトンクスを胡散臭そうに見た。
「‥‥‥‥まあいい、今夜七時に此方を出発。いいな、ヘマをするな?油断大敵だ」



先発と共に13人で飛び立ち、リトルウィンジングについた。9人が降りるのを確認してから4人は上空などをチェックする。
「北側異常なし」
レイがシリウスに告げると、のこりの二人も近づいて異常なしを告げた。
「ダング、今回は手を抜いてないだろうな」
シリウスが本気半分茶化し半分で聞けば、マンダンガスはニヤリと笑った。レイは表情にださないものの、少なからず不満だった。
「よし、移送準備の信号を送った」
その間にもビルが手際よく赤い火花を打ち上げた。
すると10秒後ほどで地上からも火花が上がる。
「みんな位置につけ!」
シリウスが言えば、先頭シリウス、その後ろにマンダンガスとレイ、最後尾ビルのひし形が形成された。
今度はシリウスが緑の火花の合図を送る。
遠くで先発護衛隊が動き出したのが見えた。



ハリーの本部への移送は問題なく終わった。先発護衛隊にやや遅れて本部へ着き、バックビークを部屋のひとつに送りとどければ、既に会議が始まっていた。
「‥‥‥‥我々が欲しておる武器は予言じゃ。これは敵の手に渡れば脅威となり、こちらが手にすることができれば有利に働く」
「なぜそれを手にするのに苦労するんだ?場所はわかっているのだろう?」
シリウスはさっぱりわからないと言うように聞いた。
「予言はその予言に関わるものしか取れぬ。そして、それが置かれているのは神秘部じゃ」
レイはそっと部屋に入ると一番ダンブルドアに遠い席に座った。
「予言にかかわる者が誰かわかっているのですか?」
今度はリーマスが問う。
「ハリーとヴォルデモートじゃ。恐らくは」
「確かに身を隠しているヴォルデモートが直々に神秘部に赴くとは考えられない。我々もハリーを魔法省に先入させるわけにはいかない」
リーマスは頷いた。

「さて、この事はまた追って話し合おう。皆の夕食の時間をだいぶ押してしまった」
ダンブルドアの言葉は会議の終わりを表していた。たった今部屋に入ってきたレイはやや置いてきぼりな気持ちだ。
「よいか、ハリーが知る必要のあること以外は話してはならぬ」
ダンブルドアは全体を見回しながらいった。
「特にレイ、よいな」
「それはもう」
レイは淡々と返した。またもやシリウスが何かを言いかけてやめる。
「それでは、おやすみ」
ダンブルドアが立つと扉を開けて出ていった。

「レイ、上に上がって子供達を呼んできてもらえる?皆に食事の準備を手伝ってもらわないと。それにあなたもずっとロンたちにあっていなかったでしょう?」
モリーはにこりと笑ってレイに言った。
「それにあなた──今日は一緒にご飯を食べていくでしょう?」
モリーにここまで言われると流石に断れない。
「ええ、呼んできますね」
レイは努めて穏やかに笑った。扉をあけると糞爆弾が散乱していた。
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