HP and SB 3 ○騎士団編

□5 All I have to do is ...
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その後一階におりればシリウスとリーマス、トンクスがいた。マンダンガスはソファーで寝ている。

「おはよう」
「おはようっていうにはまだ早いんじゃないの?2時だし」
トンクスに言われて時計をみれば、確かにまだ深夜と言われる時間だった。
「本当ね。みんな寝ないの?」
トンクスだけが寝ると答え、上に用意されたベッドに上がっていった。

「さて。ホグワーツに戻ってからのことなんだが」
紅茶を入れてテーブルについたレイにリーマスが言った。
「ダンブルドアが最近会議に来られていない。だからどうなっているのかわからないんだが、新しい"闇の魔術に対する防衛術"の教師が誰か次第でレイの動きは変わってくるだろう」
「分かりやすくいえば、その教師がダンブルドア側か、ヴォルデモート側か、魔法省側かってことだな」
リーマスの言葉をシリウスが分かりやすく噛み砕いた。

「ダンブルドア側なら言うことはない。必要があればダンブルドアから直接指示が下るだろう。ヴォルデモート側でもそうだ。ただしこちらの動きがバレるのは避けなくてはならない。加えてハリーを守ることが大切になってくるのは言うまでもないね?」
レイは頷いた。
「そして魔法省側だとすれば──これが厄介なんだが、魔法省がホグワーツに干渉しようとしていることになる。ダンブルドアをやめさせるきっかけを探しているわけだ。この場合はダンブルドアとの接触は最小限にとどめなくてはならない。わかるね?」
「ええ。その場合が一番下手に動けないわね。ヴォルデモート側と違ってわたしが騎士団なのも知られていないわけだから、普通の生徒として動かないと」
リーマスとシリウスは頷いた。

「肝心なことはふくろうには託すな。傍受される可能性がある」
「本当に伝えたいことは守護霊で伝えるわ」
シリウスの言葉にそう返した。
「とにかく、明日にならないとわからないわね。ふたりは今後どういう任務を?」
「‥‥私とシリウスはそれぞれ別の任務につくことになっているが、今までとは大して変わらないよ」
リーマスは穏やかに微笑んだ。
「そう。今年も脱狼薬は送るから──」
「ああ、それなんだが」
リーマスが思い出したように言った。
「やはり傍受の可能性が高いからね。ダンブルドアが今年はこちらで準備するようにと言った」
レイはぽかんとする。
「え、こちらって‥‥。リーマスは無理でしょう?」
「ああ、だからシリウスに煎じさせる様にと。彼はこれでも勉強はできるからね。魔法薬も私よりいい成績だった」
レイは心配そうにシリウスを見た。
「──ああ、大丈夫だ。任せろ」
そういわれれば、頷くしかない。


そのように話をしているうちに朝になった。モリーが起きてきてせかせかと朝食の準備を始める。しかし。
「フレッド!ジョージ!何をしたの!」
「俺たちちょっとトランクを運ぶ手間を──」
「大怪我をさせたかもしれないのよ!このバカ息子──!」
「ジニーおいで、手当てをするわ」

トランクを魔法で運んでいた双子が手を滑らせ、トランクは下を歩いていたジニーに直撃した。
「いたーい‥‥」
「ちょっとピリッとするわよ?‥‥はいっ」
「わ!」
レイがジニーの怪我を治している間にもモリーの説教が響き渡り、それに影響されてブラック婦人の絵画も叫んだ。頭がいたくなるうるささだ。



「おばさま!間に合わなくなるわ!」
レイは時計をみて叫んだ。
「まあ──みんな、すぐに下りてきなさい!すぐに!」
モリーの更なる大声に学生がバタバタとおりてきた。
「ハリー、わたしとトンクスと一緒に。トランクとヘドウィグはおいて。トクサとヒソクと一緒に運んでもらうから──。おばさま!先に出ます!」
レイはハリーの手を握ってブラック邸から出た。扉を締めれば一気に静かになる。

「トンクスは?」
「その角に立ってるのがトンクスよ」
今日のトンクスは老婆だった。くりくりにカールした白髪に、ポークパイの形をした紫の帽子を被っている。
「よっ、ハリー。急いだほうがいいよね、レイ?」
「その通りよ」
三人は20分ほどかけてキングスクロス駅に徒歩で向かった。
「スタージスが来なくって、マッド-アイが護衛が足りないって言ってるの‥‥スタージス、この前も来なかったわよね‥‥」


キングスクロス駅には何事もなく到着した。
「他の人たちは間に合うかしら──」
「よう、ハリー、レイ」
「「久しぶり、リー」」
通りすぎる双子の親友、リーに挨拶しながら待っていると、ムーディがハリーとレイの荷物を持って現れた。
「全て問題ない──追跡されてはおらんようだ‥‥‥‥」
ムーディは呟いた。

それからロンとハーマイオニーを連れたアーサーが現れ、ジニーを連れたモリーが現れ、フレッドとジョージを連れたリーマスとシリウスが現れた。
「異常なしか?」
「まったくなし」
「それでもスタージスのことはダンブルドアに報告しておこう。マンダンガス並みに信用できなくなっている」
レイは周囲に目を光らせながらリーマスとムーディの会話を聞いていた。


「気を付けて」
それから大人たちは子供達にお別れを言った。
「くれぐれも無理はしないでおくれ。今までに君がこの約束を守ってくれたことがないんだが──」
「失敬な」
レイはリーマスと笑った。
「しかし本当だ。彼が復活した以上、日本人信仰だって悪化するかもしれない。常に気をつけて、誰かと一緒に行動するんだよ?」
レイは頷いた。それからモリーとトンクスにハグされる。

「全員忘れるな、手紙の内容には気を付けろ──迷ったら書くな」
ムーディの言葉に全員頷いた。
「みんなも気をつけてね──?みんなの方が危険なんだから」
警笛が鳴る中、レイは言った。シリウスとリーマスが頷く。
「ならまた──クリスマスに!」
汽車に乗り込み手を振った。トンクス、リーマス、シリウス、ムーディ、モリー、アーサーがあっという間に小さくなっていった。
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