HP and SB 3 ○騎士団編

□8 in your arms
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「あの女は確かに嫌なやつだ──リーマスがあの女のことを何と言っているか聞かせたいよ」
「リーマスはあいつを知ってるの?あいつはリーマスの秘密を知っているような言い方をしてたけど──」
ハリーはすかさず聞く。レイもこれは気になっていた。
「いや。しかし二年前に反人狼法を起草したのはあの女だ。結局俺たちはワームテール捜索を本業としたが、それは別として、あの法律でリーマスは就職が殆ど不可能になったんだ」
四人は揃って顔をしかめた。

「狼人間にどうして反感を持つの?」
ハーマイオニーが怒って聞く。
「きっと怖いのさ。どうやらあの女は半人間を毛嫌いしている。去年はマーピープルを一網打尽にして標識をつけようというキャンペーンもやった。マーピープルをしつこく追い回すなんていうのは時間とエネルギーの無駄だよ。クリーチャーみたいなろくでなしが平気でうろうろしているというのに」
しかしこの言葉はハーマイオニーの気を悪くした。
「真面目な話、あなたがクリーチャーのことで努力すれば、きっとクリーチャーは応えるわ。だってあなたは最後の生き残りなんですもの。それにダンブルドアもおっしゃったけど──」
「それで」
シリウスはハーマイオニーの言葉を遮った。

「それで、アンブリッジの授業はどんな具合だ?半獣を皆殺しにする訓練でもしているのか?」
ハーマイオニーが話の腰を折られてお冠なのを無視してハリーが答えた。
「あいつは僕たちにいっさい魔法を使わせないんだ!」
「つまんない教科書を読んでるだけさ」
ロンもうんざりしたように言う。
「ああ、それで辻褄があう。魔法省内部からの情報によれば、ファッジは君たちに戦う訓練をさせたくないらしい」
シリウスの言葉に四人の目が丸くなった。
「戦う訓練?ファッジは僕たちがここで何をしてると思ってるんだ?魔法使い軍団かなにかを組織してるとでも思ってるのか?」
ハリーは冗談半分に言ったつもりだったようだが、シリウスは神妙に頷いた。
「まさにその通り。そうだと思っている。むしろダンブルドアが私設軍団を組織して、魔法省と抗争するつもりだとね」
みんな黙りこくった。そしてロンが口を開いた。
「こんなバカげた話、聞いたことがない。ルーナ・ラブグッドのホラ話を全部引っくるめてもだぜ」

「それじゃ私たちが闇の魔術に対する防衛術を学べないのは、私たちが魔法省に呪いをかけることをファッジが恐れているからなの?」
ハーマイオニーも憤慨して言った。
「そう。ファッジはダンブルドアが権力を握るためには何物をも辞さないと思っている。ダンブルドアに対して日に日に被害妄想になっている。でっち上げの罪でダンブルドアが逮捕されるのも時間の問題だ」
レイは下唇を噛んだ。何かしたいが、今自分にはできることがない。

「ハグリッドのことは何か聞いていない?」
ハリーはずっと気にしていたことを聞いた。
「ああ……ハグリッドはもう戻っているはずだったんだが、何が起こったのか誰も知らない」
ショックを受けたような四人の顔を見て、シリウスが急いで言葉を付け加えた。
「しかしダンブルドアは心配していない。だから四人ともそんなに心配するな。ハグリッドは絶対大丈夫だ……」
「だけどもう戻っているはずなら……」
ハーマイオニーの声は小さかった。
「マダムマクシームが一緒だった。我々はマダムと連絡を取り合っているが、帰路の途中ではぐれたと言っていた。しかしハグリッドが怪我をしていると思わせるようなことは何もない──というか、完全に無事だということを否定するようなものは何もない」
誰もその言葉で納得出来た筈はなかった。

「いいか、ハグリッドのことをあまり詮索してまわるんじゃない。ハグリッドがまだ戻っていないことに余計に関心を集めることを、ダンブルドアは望んでいない。ハグリッドはタフだ、大丈夫だよ」
四人は仕方なしに頷いた。
「シリウス、ひとつだけ教えて」
レイはのこりの三人に聞かれてもいいことと悪いことを頭のなかで仕分けながら言葉を選んだ。
「スタージスのことは、単純なミス?それとも何者かにはめられた?」
「わからない。トンクスやキングズリーが探りをいれているが、なにも情報がない」
レイはそう、と頷いた。
「また話そう。その時は時間のみふくろうで知らせる」
シリウスはそういうと、炎から消えた。
「ちょっとは気が晴れた?」
レイは小さくハリーに聞いた。
ハリーはやはり小さく、うん、と答えた。





あとがき

シリウスが騎士団としてちゃんと活躍してて、かつ無罪放免されているので、ハリーに"ジェームズに似てない"発言はここではしませんでした.だって苛々してなさそうなので.生き生きしてるし.笑

やっと出てきたドラコ君.プラチナブロンドのイケメンに腕枕されたいですねー(°Д°)
さて、リーマスの任務とは(棒読)?
原作を厚さで測ると3分の1ほどまできました.
楽しんでいきたいと思います(*^^*)
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