HP and SB 3 ○騎士団編

□9 I must not tell lies.
1ページ/9ページ



翌朝、パーシーの言った記事を見つけることは容易だった。


"魔法省、教育改革に乗り出す ドローレス・アンブリッジ、初代高等尋問官に任命!"


「もう何も言えないわね」
レイははぁ、とため息をついた。
記事によれば、魔法省は教育するんだとして新しい省令を設けた。高等尋問官は同僚こ教育者を査察する権利を持ち、教師たちが然るべき基準を満たしているかどうかを確認することができる。記事にはルシウスがそれを支持したことや、何人かのウィゼンガモット法廷のメンバーがこれに反発して辞任したことなどがあげられていた。

「なんでアンブリッジなんかが来たのかわかったわ。ファッジが教育令をだしてあの人を学校に押し付けたのよ!そして今度は他の先生たちを監視する権利を与えたんだわ!信じられない!こんなこと、許せない!」
「まったくだ」
ハーマイオニーは吠え、ハリーはギリギリと歯を噛み締めた。レイは頬に手をあてていろいろと考え込んでいたが、ロンだけはにんまり笑っている。
「「「なに?」」」
三人は声を揃えて聞いた。というより、ハリーとハーマイオニーはロンを睨み付けた。
「ああ、マクゴナガルが査察されるのが待ち遠しいよ。アンブリッジのやつ、痛い目にあうぞ」

しかしその日から始められると思われた視察はまだで、魔法史にも魔法薬学にもアンブリッジは現れなかった。
「諸君のレポートがO.W.Lであればどのような点を貰うかに基づいて採点してある」
マントを翻して宿題を返して歩きながら、セブルスは薄ら笑いを浮かべて言った。
「試験の結果がどうなるか、これで諸君も現実的にわかるはずだ。全般的に今回のレポートの水準は惨憺たるものだっま。これがO.W.Lであれば大多数が落第だろう。今週の宿題である、毒液の各種解毒剤について、は何倍もの努力を期待する。さもなくばDをとるような劣等生には罰則を科さねばなるまい」
ドラコはフフンと鼻で笑い、聞こえよがしの囁き声でいった。
「へー!Dなんか取ったやつがいるのか?」
それを聞いてセブルスはニヤリと笑い、ロンが小さく呟いた。
「今度あいつに鼻血ぬるぬるヌガーを仕込んでやる……」
レイは仲が良いのだか悪いのだかよくわからない友人たちの関係に笑った。

「最高点は期待してなかったわ。O.W.L基準で採点したのだったらそれは無理よ。でも今の時点で合格なら、かなり見込みあると思わない?今の時点での成績は一種の基準線でしょ?そこから積み上げていけるし……そりゃ、もしOを取っていたら、私ぞくぞくしたでしょうけど……」
比較的穏やかな魔法薬学を終えた帰り、ハーマイオニーはつらつらと話していた。
「ハーマイオニー、僕たちの点が知りたいならそう言えよ」
ロンがついに耐えきれなくなったように、とがった声で言った。
「そんな──そんなつもりじゃ──でも教えたいなら──」
レイはそんなつもりだったんだろうな、と正直に思った。

「僕はPさ。満足かい?」
「そりゃ、何にも恥じることはないぜ」
フレッドがジョージとリーと連れだって現れ、レイの右側に座った。
「Pなら立派なもんだ」
ジョージも定位置につきながら言う。そのジョージの横にリーが座った。
「でも、Pって確か……」
ハーマイオニーは顔を歪めていた。
「poor、うん。でもDよりはいいよな?dreadfulよりは」
リーの答えに、レイはハリーが赤くなるのを見た。なるほど、ハリーに厳しいセブルスは今回Dを与えたらしい。
「それで──レイは?どうだったの?」
ハーマイオニーは控えめな口調で、でも強い目線でレイを見た。
「O」
レイは変に隠すのも感じが悪いと考えて素直に言った。
「Outstanding!?最高評価でしょう!?」
ハーマイオニーが悲鳴をあげた。
「さすが我らが姫だな」
「ヌガーの解毒剤も流石のものだった」
レイは肩をすくめた。

「Oの次がAよね。それで……」
「いや、Eさ。Eがexceed expectation。俺なんか、フレッドと俺は全科目でEをもらうべきだったと、ずっとそう思ってる。だって俺たちゃ試験を受けたこと自体が"期待以上"だったものな」
ジョージの訂正にみんな笑ったが、ハーマイオニーだけはせっせと聞き続けた。
「じゃあ、Eの次がAでacceptable、それが最低合格点の"可"なのね?」
「そっ」
フレッドはロールパンを一個まるまるスープに浸し、それを口に運んで丸のみにした。
「そのしたにPがきて、それで最低評価のDがくる」
ロンが万歳の格好をして茶化した。
「どっこい、Tを忘れるな」
ジョージが言った。
「T?Dより下があるの?いったい何なの?Tって」
ハーマイオニーはゾッとしたように聞く。
「trawl」
みんなまた笑ったが、ジョージの言葉が本当か冗談かはわからなかった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ