HP and SB 3 ○騎士団編

□17 prison break
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「ごめん、ちょっと待っててね」
「うん、気にしないで」
レイはスネイプについてスネイプの机の方に行った。こちらからは魔法薬の材料がおかれた棚のせいでそちらはよく見えない。しかし棚は背板はついていない吹き抜けタイプのものだったので、ゴキブリや枯葉の入ったガラス瓶の隙間から少しだけ向こうの様子が見えた。

カサカサという音がして、レイがローブとセーターを脱いだ。それからシャツのボタンを何個か開けて、左側を捲らせる。瓶の隙間からそれをドキドキしながら見ていたハリーは、次の瞬間に息を飲んだ。包帯の下から現れた呪いの傷は痛々しくぱっくり割れていたし、その下には広い範囲で、鋭いペンで抉れた肌があった。思わず目をそらすと、そこにはかつて校長室でみたものがあった。憂いの篩だ。

憂いの篩についた棚には、沢山の鏡が円を描いていた。そのなかにはレイとスネイプを写したものもある。ハリーはレイたちのいる側の棚に背をむけ、鏡を見た。
「……先にマートラップだな」
スネイプは嫌そうにいうと、棚から小瓶をとり、コットンとピンセットと共にレイに渡した。レイは礼をいって受けとると、まずは血を拭い、それから小瓶からエキスを染み込ませたコットンで、鎖骨下を押さえてまわる。

「──我輩はひとつの可能性に到達した。よって今回はこれを試す」
スネイプは引き出しから別の瓶を取り出した。
「それって最初に使った、ハナハッカのエキスの進化形よね。ノコノコソウ入りの強力バージョン」
「左様」
レイはのんびりとスネイプに答えた。それからスネイプはマントを翻してレイに近づくと、小瓶の蓋をあけて肩口に水滴それを垂らす。
「──うわぁ、沁みるわねぇ」
レイはのんびりと言った。しかしそれを言い終わらないうちに、傷口が塞がり出す。

「!!」
レイは目を丸くしてみていた。
「うそ、だってこの傷は5ヶ月も塞がらなかったのよ?」
「痕はしばらく残るぞ。強力な呪いだ」
レイはそっと塞がった傷に触れた。いくらかつっぱるのか、すぐに手を引っ込める。
「どうして今回は効いたの──?」
レイが不思議そうに呟くと、スネイプは鼻を鳴らした。

「教えてやろう──貴様が使っていた、陳腐で粗悪な睡眠薬が傷の治りを妨げていたのだ、馬鹿者」
ハリーは睡眠薬、のところで目を丸くした。
「あの睡眠薬には微々たる量のピクシー妖精の羽が含まれていた。それは殆どの傷薬に用いられるハッカと相殺しあうのだ、馬鹿者。貴様はあの睡眠薬を殆どコンスタントに2日に一回服用していた。特に我輩が傷を見るようになってからはずっとだ──我輩があの睡眠薬をやめさせてから数週間、やっと体から効果が抜けて、ハッカを無効化しなくなったのだ」

「ピクシー妖精の羽とハッカが相殺?そんなの初めて聞いたけど──セブルスが新しく見つけた事実なの?」
レイは馬鹿者呼ばわりされているのにほんわりとした笑顔と尊敬の眼差しでスネイプに聞いた。
「──いかにも」
スネイプはにやりと笑う。ハリーは驚いた。魔法薬学の教師とは言えど、そこまでスネイプが魔法薬に秀でているとは考えてもみなかった。そういえばマーリン勲章を数年前に授与されかかっていた気もする。易々新しい事実を発見するほどの実力なのか。もしくはレイのためにそこまで頑張ってあげたのか。

「すごいわ、セブルス。流石」
「そもそも貴様があんな粗悪品を使っていたことから問題なのだ。睡眠薬にピクシー妖精の羽?聞いたこともない。お陰で分析に時間がかかったではないか、馬鹿者」
「だって他の睡眠薬じゃ効かなくて──あれなら間違いなく3時間は寝られるもの。ああ、それがピクシーの効果?」
スネイプとレイはハリーが会話を聞いていることを忘れているようだった。

「第一貴様はまた寝ていないように見受ける。やる気はあるのか?」
「言いづらいんだけれど、セブルスにもらった魔法薬効かなくて──」
「馬鹿者。強い薬に頼るなということだ、大馬鹿者」
「ねぇ、いつに増して馬鹿馬鹿言ってくるけれど、それって実は機嫌いいってことよね、セブルス?」
ハリーはレイの言葉を受けて、スネイプが馬鹿者というのは機嫌がいい証だと、初めて気がついた。確かにいまのスネイプは、新しい事実を見つけたこと、レイの傷を塞げたことで、あれでいて機嫌がいいのかもしれない。
なんだ、僕のことを嫌いなだけで、思っているよりいい人かもしれない。
ハリーは不覚にもそう思った。僕のことを嫌いなだけで。そう、僕のことを嫌いなだけで。
そう思ってしまえば何だかとても不愉快で、ハリーはむっとした。





あとがき

当サイトにしては更新が遅れました、すみません(-_-)
なぜってね、夏休みが終わってしまったわけですよ……
二次小説とバイト戦士で尽きた最後の夏休み(´・ω・`)
やだ、社会人なりたくない、という作者です.

ドラコ×ドビーって良くないですか?笑
レギュラスで検索したら上に出てくるピクシブ百科事典読んでたら、

・スリザリン家系
・純血主義の名家
・屋敷しもべ妖精と関わりが深い
・スリザリンのシーカー
・16でデスイーター

等々ドラコ・マルフォイとの関連性が強い、と書いていたんです.
ドラコって屋敷しもべ妖精と関わり深かったっけ?笑 まあ確かに、作中屋敷しもべ妖精付きのお家は三件だからそういうことかな?
そんなこんなで、ドラコ×ドビーって面白そうかもと思いました.ドラコはマートルともうまくいってるから、きっと期待を裏切らないことでしょう.笑
ということで次はドラコ×ドビーから始まります.

それではまた次章でお会いしましょう(*´ω`*)
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