HP and SB 1 ○アズカバン編

□5 一緒にいたい
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「で、どういうことだい?」
フレッドが去った談話室の沈黙を破ったのはジョージだった。
ハーマイオニーも戸惑いを隠せないようで辺りを見回している。
「‥‥私たち‥‥ちゃんと話さないといけないと思ったの‥‥!」
パーバティがおろおろしながら答える。
「だから‥‥!レイを呼んで、質問してただけよ!」
ラベンダーも悲鳴のように叫びながら答える。
「‥‥レイが倒れたのはあなたたちのせいじゃないわ。彼女は今日、もともと調子が悪かったのよ」
ハーマイオニーが低い声でいうと、少しふたりは落ち着いた。
「‥‥で?彼女と何を話したんだい?」
ジョージは相変わらず淡々と聞いた。
ふたりは答えない。俯いたまま黙っている。
「「「「‥‥!?」」」」
突如ジョージは近くの席に座っていたシューマスの襟元をつかみ、立ち上がらせて壁に押し付けた。
「‥‥‥‥ひっ!」
突然のことにかたまるシューマス。
「‥‥シューマス、どうせ聞いていたんだろ?何を話してたんだ?」
いつもの陽気さとは正反対の低い声で呟くジョージに、シューマスは怯えた。
「えと‥‥なんでハリーたちと一緒にいるのかとか‥‥!」
「どういうこと?」
これには驚いたようにハーマイオニーが聞き返した。
「ハリーたちは賢者の石とか‥‥秘密の部屋とか、とにかく特別なのに、なんでそこに割りいったんだって‥‥迷惑だと思わなかったのかって‥‥」
ひっ、とパーバティとラベンダーが息を飲むのがわかった。
「‥‥迷惑?私たちがレイと一緒にいて迷惑がってるですって?」
ハーマイオニーが信じられないと言わんばかりにふたりを見た。
「私たちは望んで彼女といたのよ?なんでそれを‥‥」
ふたりはなにも言わなかった。
「‥‥それから?」
ジョージは低い声のまま言った。
「‥‥っ!先生に贔屓されてるって‥‥!あと、一緒の部屋がいやだったのはどうしてって‥‥」
シューマスは怯えながら続ける。
「‥‥見ての通りよ。レイは体が弱いから、倒れることがあるし、そうじゃなくても早朝深夜に先生を訪ねることがある。私たちと同じ部屋じゃ私たちに迷惑がかかるから、眠りを妨げてしまうからってレイは一人部屋を選んだの。私は!私は、心配だったから、せめて私がレイの部屋に行くっていったけど‥‥あの子遠慮して‥‥」
ハーマイオニーは泣き出してしまった。
「やっぱり一緒の部屋にするべきだったわ!あの子が倒れるのは初めてじゃないのよ?一昨日だって!」
「‥‥一昨日?」
「一昨日の夜、調子が悪くなって寮を抜け出したらしいの。でも倒れてしまって‥‥偶然見回りで通りがかったハッフルパフのセドリックが助けたって‥‥」
「‥‥っ!」
ジョージも舌打ちをして、シューマスを放した。
「昨日の変身術に遅刻したけど減点されなかったのはそれでよ!魔法薬学で減点されないのも彼女が勉強してるから!贔屓じゃないわ!」
「ま、マルフォイのことは‥‥?」
ラベンダーが絞り出したように言う。
「‥‥マルフォイはレイの体が弱いことを知っていて、心配してる。私たちも最初怪訝に思ったけど、‥‥あいつもレイを大切にしているのはわかったわ」
「‥‥ごめ‥‥ごめんなさい、わたし‥‥」
「ごめんなさい‥‥!」
フレッドはなにも言わずに談話室を出ていった。
ハーマイオニーはふたりに近づいた。
「勘違いとすれ違いなのはわかるわ。部屋を変えたのを言わなかったレイも悪いし‥‥。でも、明日一緒にレイのところに行きましょ?」
ふたりは頷いた。ハーマイオニーは目を細めた。
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