HP and SB 1 ○アズカバン編

□7 ハロウィーンの夜
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「そうだ、ルーピン先生また調子悪いの?セブルスがお薬煎じてるんでしょう?」
レイは唐突に話を変えた。
そんな彼女をみて、ふと浮かんだ悪戯心。
「丁度いい。薬は作ってあるからルーピンのもとに持っていってくれ」
そういうと鍋から液体をゴブレットに移す。
「‥‥それ、脱朖薬?」
やはり魔法薬に詳しい彼女にはわかったようだ。
「なんのことかね」
そういうとゴブレットをレイに渡した。レイは中の液体をよく観察しながら、部屋を出ていった。


「ルーピン先生、お休みのところ失礼いたします。グリフィンドールのダンブルドアです」
するとやつれながらもルーピンは顔を覗かせた。レイはルーピンの中でも特別親しい生徒だったから。それは主にお茶会のせいであるが。
「どうしたんだい?」
「スネイプ先生から薬を届けるように言われまして」
ルーピンは一瞬目に苛立ちを宿した。脱朖薬を生徒に運ばせるなんて。生徒が気づく可能性だってある。溢して怪我をする可能性だってある。
「あの、入ってもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。すまない」
そういうとルーピンはレイを招き入れた。
「どうぞ」
ゴブレットを受けとると、テーブルにおく。すると後ろからいつも通りの調子で声がかけられた。
「それ、脱狼薬ですか?」
「‥‥‥‥‥‥」
とんでもない質問だった。既にばれていたとは。
「‥‥セブルスがいったのかい?」
「いいえ、まさか。書物で見たものと酷似していたので。そんなトリカブトのにおいがする薬もあんまりありませんし」
レイはいつもとおなじ穏やかな声で問うた。
「そうだとしたら、君はどうするんだい?」
背中に冷や汗をかきながらルーピンは振り返った。あったのはいつもとおなじ笑顔。
「それはもう、スネイプ先生にお願いして調合を見学させてもらいます。魔法薬学の道を志す者としては知っておきたい知識です」
突拍子のない返事がかえってきてしまった。
「あ、大丈夫です。先生が人狼だとしても、みんなにはいいません。ハリーやハーマイオニーにも。純粋に魔法薬に興味があるんです。それに‥‥」
レイはルーピンが人狼の可能性があるとしても、怯えた目を向けない。
「万一スネイプ先生が風邪をひいても、わたしがルーピン先生に薬を作ってあげられたら嬉しいです。ルーピン先生には、いつもお話相手になってもらっているから」
のほほんと笑っていうレイに苦笑しながら、ルーピンは頷いた。
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