HP and SB 3 ○騎士団編

□2 growing apart
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部屋は静まり返っていた。ウィーズリー家の4人は口をあんぐりと開けている。
「君──いつから?今日はいないかと──」
とりあえずとばかりにロンが聞いた。レイは肩を竦めてみせる。
「後発護衛隊だったからさっき戻ったの」
ハリーはその言葉に 眉を寄せた。
「先発護衛隊が全滅したときに現れるのは君だったの?」
どうやら説明を受けていたらしい。
「その中のひとり、ね」

クルックシャンクスを追って入ってきたヒソクを抱き抱えながらレイは答えた。
「君は‥‥騎士団に入っているんだろう?会議にも、作戦にも参加してる。僕がリトルウィンジングに缶詰めにされている間に──」
ハリーの怒りが再燃してきたのがわかった。ハーマイオニーとロンがちらりと目を合わせた。
「そういうことに、なるわね」
レイは言い訳せずに返した。

「どうして君はいつも特別なんだ!?僕だってヴォ‥‥」
「わたしが騎士団に入ることになった経緯が知りたいのなら、話すけれど。それとは別に、すっきりしたいのならあなたの主張をただ聞くわ」
レイはハリーの顔色を伺うことなく平然と答えた。その場にいた誰もが虚を突かれたように固まる。
しっかり十秒は沈黙だった。
「オーケー、なら君の話を聞くよ」
ハリーは叫ぶのをやめ、戸惑ったように答えた。

「わたしが騎士団に入ることになったのはダンブルドアの決定よ。だけどそれはわたしが使えるとか役に立つ、なんていう理由からではなかったみたい」
レイはヒソクを床に下ろしながら言った。
「ミオさんが騎士団の考案をした人みたいなの。その時の誓約書が有効なままだった。普通死んだり裏切ったりしたら誓約書は無効になるのに、騎士団の再集結にともなって有効になった誓約書の中にミオさんのものがあった」
レイは冷たい目で穏やかに微笑みながら続けた。

「去年考えていた通りに、日本語の漢字で書けばわたしとミオさんは同姓同名。誓約書が漢字で書かれていたからなのか、はたまた何なのか‥‥。わからないけれど、わたしは入団の話を持ち掛けられる前から既に団員だったの。魔法契約でね」
「そんなことって!それじゃ誓約書が意味をもたないじゃない、おかしいわ!」
ハーマイオニーが半ば悲鳴のように返した。
「でも大して可笑しいことじゃないわ。同姓同名の叔母の書いた誓約書が有効なことなんて、デスイーターが陰謀のために書いて入れたハリーの名前が、ゴブレットから出てきたことよりはね」

「じゃあ君はなりたくて騎士団員になったわけじゃないの──?」
ロンはすかさず聞いた。それにはレイはゆっくり答えた。
「‥‥どうせならなきゃいけないと思っていたから、なりたくなかったわけではないわ。だって戦士の一族だから」
ハリーは黙ってそれを聞いていた。それからぽつりと呟く。
「いいじゃないか。僕は団員になりたい。何なら代わってあげるさ」
ハリーの言葉にレイは静かに返した。

「去年不本意な魔法契約で苦しんだあなたが、それを言うの?」
レイの声は場が凍りつくほど冷たかった。ハリーも目を見開き、何も言い返さない。
「‥‥‥‥今のはちょっと意地悪だったわね。ごめんなさい、忘れて」
レイはほわりと笑うとそう言った。一気にみんなが息を吐く。
「ご飯を手伝ってほしいっておばさまが言ってたんだったわ。降りましょう?」
いつも通りのレイの様子ほっとしながら6人はレイの後ろについて階段を下りた。
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