HP and SB 3 ○騎士団編

□9 I must not tell lies.
4ページ/9ページ



次の魔法生物飼育学でもアンブリッジがいた。アンブリッジはグラブリー・プランクにハグリッドの行方を聞こうと試みたが、グラブリープランクも知らないようだった。
今回はアンブリッジは趣向をかえ、クラスの生徒に魔法生物についての質問をした。大体の生徒がうまく答えたので、少なくともハグリッドに恥をかかせるようなことにはならなかった。特にそれにはハリーが安心していた。

「それで、あなたはこのクラスで今年何を教える予定ですか?もちろん、ハグリッド先生が戻らなかったら、としてですが」
「ああ、O.W.Lに出てきそうな生物をざっとね。あんまり残っていないがね──この子達はもうユニコーンとニフラーを勉強したし。わたしゃ、ポーロックとニーズルをやろうと思っているがね。それにほら、クラップとナールもちゃんとわかるように……」
グラブリー・プランクは嫌みなく答えた。
「まあ、いずれにせよ、"あなたは"ものがわかっているようね」
その言い方にグリフィンドール生は顔をしかめた。しかもアンブリッジがスリザリン側に向けて次に放った質問は最悪だった。

「さて、このクラスで誰かが怪我をしたことがあったと聞きましたが──」
「それは──」
「はい!はいっ!」
アンブリッジの問いにスリザリンの誰もが答えないうちにレイは手をあげ、低い身長を目立たせようとピョンピョン跳ねてアピールした。
「先生!はい!それ、わたしなんです!」
ハリーたちも含め、スリザリンとグリフィンドールの誰もがその行動の意味がわからないという表情をした。
「──あなたなの、ミスルーピン?」
アンブリッジはいかにも本意と異なるとような顔で振り返った。
「はい、ちょっと勢い付いちゃって。ほら、先生ならわかってくださるでしょう?わたしは"たまに"勢い付いてしまうんです。"先生の言うこと"をうっかり聞きのがして。だからそれはハグリッド先生が悪いわけではないんです」
レイはにっこりと笑って言った。

「──わかりました。グラブリー・プランク先生、結果は10日以内に受けとることになります」
アンブリッジはクリップボードに、明らかに合格とわかる丸をつけて、城に戻っていった。スリザリンから落胆の声があがる。せっかくハグリッドを貶めるいい質問だったのだ。対照的にグリフィンドールの方はレイにハイタッチを求める生徒が続出した。



しかし、レイの必死の試み──アンブリッジからハリーを遠ざけること──がついに報われない時が来てしまった。
金曜日の日刊予言者新聞、やはり今日もアンブリッジと魔法省の教育改革についての記事がでかでかとのっていた。
「闇の魔術に対する防衛術、崩壊の歴史とアンブリッジ氏の改革、ねぇ」
レイはハーマイオニーがふくろうにお金を払う間、一面の見出しを馬鹿馬鹿しそうに見つめていた。

「いつものジンクスについての記事でしょう?今さらだわ」
ハーマイオニーも大して興味が無さそうにそれを見やった。しかしレイは、その記事の中頃に見てはいけないものを見た気がして、新聞を勢いよく手に取った。読み進めるにつれ、顔を真っ青にして唇を震わせる。
「何が書いてあるの……?」
ハリーはレイのその様子にただならぬものを感じて、新聞を覗きこんだ。


…………のようにロークハート氏は現在聖マンゴ魔法疾患傷害病院に隔離されている。
次に二年前の担当教員、リーマス・ルーピンについてだが、ドローレス・アンブリッジ高等尋問官は衝撃的な事実を公表した。
「彼は人狼です。狼人間が教壇に立っていたのです」
ルーピン氏はどのような危険な授業を行っていたのか。生徒に狼人間の被害にあったものがいないかどうか、学校は確認する必要があるだろう。狼人間は言うまでもなく危険な半獣で、まさにアンブリッジ高等尋問官は二年前、反人狼法を起草した立役者でもある。彼女が高等尋問官でなければ、狼人間がホグワーツで教師をしていたというこの驚くべき事実は隠蔽されたままだったであろう。
なお、リーマス・ルーピン氏は現在、殺人容疑のあったシリウス・ブラック氏と共にダンブルドアの指示の下動いているが、その情報は少ない。お近くで見かけた際には注意が必要だろう。
昨年担当していたアラスター・ムーディは──


「あいつ……やりやがった!」
ハリーは固まったままのレイから新聞を取り上げ、ロンとハーマイオニーにつきだした。
「なんてこった!これって!」
「そんな……酷いわ……!とんでもなく酷いわ!」
ロンとハーマイオニーも信じられないと吠える。
その時、ラベンダーが親からの手紙を手にしたまま、こちらに声をかけた。
「ねぇ、レイ。ルーピン先生が人狼って、本当のことなの?ママが、新聞に載ってたって……」
グリフィンドールテーブルで、レイに視線が集まった。幸い他寮ではまだそこまで広がっていないのか、ちらちら見てくる生徒はいても、まだ遠巻きだ。
レイは何か弁解しようとして口を開き、何を言えばいいかわからずに固まった。

「廊下で怪しい製品を使うんじゃありません!ウィーズリー兄弟、グリフィンドール10点減点!」
その時、大広間の前の廊下から甘ったるい声が聞こえてきた。
その声に、すぐさまハリーが立ち上がって駆け出した。固まっていたレイは出遅れる。
「ハリー!」
ハーマイオニーとロンが追いかけだし、レイもそれに続いた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ