HP and SB 3 ○騎士団編

□10 formation
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それから策士ハーマイオニーは、丸々二週間その話題を出さなかった。その間にロンはクィディッチチームで怒鳴られなくなり、四人ともアンブリッジに下手に切れることもなかった。
昨日アンブリッジの罰則が──結果的に1ヶ月あの部屋に通った──終わったために、レイは晴れ晴れした気持ちでいた。四人は今図書館にいて、レイ以外の三人はセブルスの課題のための調べものをしている。レイが探しているのはべリタセラムの解毒剤のヒントだ。

「どうかしら。闇の魔術に対する防衛術のこと、ハリー、あれから考えた?」
ハーマイオニーが突然切り出すと、ハリーが不機嫌に言った。
「そりゃ考えたさ。忘れられるわけないし。あの鬼ばばぁが教えるうちは──」
「私が言ってるのは、あなたが私たちに教えるっていう考えのことなんだけど」
ハリーはすぐには答えず、『東洋の解毒剤』を流し読みしていた。

「……まあね。ああ、僕──僕、少し考えてみたよ」
「それで?」
ハーマイオニーが意気込んだ。
「僕は最初から名案だと思ってたよ」
ロンはハリーがまた怒鳴り始める心配はないと思ったのか、会話に加わる気が出てきたらしい。
「幸運だった部分が多かったっていうのは聞いただろう?」
ハリーの言葉にハーマイオニーは優しく返した。
「ええ、ハリー。それでもあなたが、闇の魔術に対する防衛術に優れていないふりをするのは無意味だわ。だって、優れているんですもの。先学期、あなたとレイだけが服従の呪文を完全に退けたしわあなたは守護霊も作り出せる。一人前の大人の魔法使いにさえできないいろいろなことが、あなたはできるの。ビクトールがいつも言ってたけど──」
ロンはあまりに急にハーマイオニーを振り返ったので、首の筋を違えたようだった。レイはそれをみて小さく笑う。
「へぇ?それでビッキーは何て言った?」
首を揉みながら言うロンを、ハーマイオニーは相手にしなかった。

「彼はね、自分も知らないようなことを、ハリーがやり方を知ってるって言ったわ。ダームストラングの七年生だった彼がよ」
「君、まだあいつと付き合ってるんじゃないだろうな?」
ロンは探るようにハーマイオニーを見た。
「だったらどうだっていうの?私にペンフレンドがいたって別に──」
ハーマイオニーは冷静さを繕っていたが、やや顔が赤かった。
「あいつは単に君のペンフレンドになりたいわけじゃない」
ロンが咎めるように言ったが、ハーマイオニーは首を振って話を戻した。

「それで、どうなの?教えてくれるの?」
「君とロンだけだ。いいね?」
ハリーははっきりと許諾した。しかしハーマイオニーは言いづらそうに続けた。
「ねえ、ハリー、お願いだからまたぶち切れたりしないでね……私、習いたい人には誰でも教えるべきだと、ほんとにそう思うの。つまり、問題は、ヴォ、ヴォルデモートに対して──ああ、ロン、そんな情けない顔をしないでよ──私たちが自衛するってことなんだもの。こういうチャンスを他の人にも与えないのは、公平じゃないわ」
ハーマイオニーの言葉にレイは質問した。
「だけど、アンブリッジにばれるわけにはいかないでしょう?完全に公平にってのは無理があるんじゃないかしら?」
「ええ。でも、学びたいって思っている人を知っているなら、声をかけるべきだわ。志が同じならばね」

レイとハーマイオニーの会話を聞いていたハリーが口を開いた。
「そもそも君たちふたり以外に僕たちから習いたいなんて思うやつはいないと思う。特に僕は、日刊予言者新聞によれば、頭がおかしいんだ。そうだろ?」
ハーマイオニーが真剣な表情で提案した。
「あなたたちの言うことを聞きたいって思う人がどれだけ沢山いるか、あなたきっとびっくりするわよ。ほら、10月の最初の週末はホグズミート行きでしょ?関心のある人はあの村で集まるってことにして、そこで討論したどうかしら」
ロンはいまだにクラムの話題を引きずっているのか静かだが、質問する。
「どうして校外でやらなきゃならないんだ?」
「それはね」
ハーマイオニーは噛み噛み白菜の図の模写に戻りながら言った。
「アンブリッジが私たちの計画を嗅ぎ付けたら、あまり嬉しくないだろうと思って」
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