HP and SB 3 ○騎士団編

□10 formation
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「そこでコリン、あなたなら興味を持つんじゃないかと思ったの。ハリーとわたしによる、闇の魔術に対する防衛術の特別訓練」
レイはグリフィンドールの談話室の端でコリン・クリービーに例の会合について話していた。今談話室の中心では、フレッドとジョージによる鼻血ぬるぬるヌガー実演会が行われており、みんなの注目はそちらだ。
「もちろんだよ!僕、参加する!参加させて!」
コリンは目を輝かせながら言った。
「よかったわ。それなら次のホグズミートの日、開けておいてね。時間は2時、場所はホッグズ・ヘッドというパブの予定よ」
コリンは首が取れるのではないかというほど何度も激しく振った。

「ねえレイ、僕はどうしても参加しちゃだめなの?」
一方、コリンの横で話を聞いていたデニスは泣きそうになっていた。彼もハリーの信者なのだ。
「うーん、対象としては三年生以上のつもりなんだけれど……」
レイは考え込みながらいった。発案者のハーマイオニーは、学びたい者は誰でも教えるべき、と言っていた。ならば年齢で弾くのは違う気がする。
「全体のレベルが高くても大丈夫?」
「もちろん!僕頑張るよ!」
デニスは必死にいった。

「──わかったわ。わたしがどうにかする。となると、忍びの地図が必要ね……それからフレッドとジョージに頼まなくちゃ」
クリービー兄弟はきょとんとした。
「ううん、えっと……なら作戦をたてるから当日はそれに従って。ちょっと早めにデニスもホグズミートデビューしましょう」
レイはにこっと笑った。



「……というわけなの。アンブリッジに対抗するために、外で待つ闇側との抗争に備えるために、防衛術の自習の組織を作るの」
「お前、よくもまあそれを僕に言うなぁ……天然なのか?それとも作為的なのか?」
ドラコはレイに呼び出されて、中庭でティーブレイクをとっていたところだった。久々にレイの、こんなに無垢でほわほわしたところを見た気がする。頭は痛い話だが。
レイはというと、1ヶ月続いたアンブリッジの罰則が終わり、このようにのんびりとした放課後を過ごせてご満悦だ。

「でね、ドラコどう?参加しない?」
「言うと思った……お前ってやつは……」
ドラコは頭を抱えた。きょとんとするレイに向き直り、説明する。
「いいかい?僕が裏切ってアンブリッジにその実態を告げるとは思わないのか?」
レイはほわりした笑顔で、うん、と首を縦に振った。
「思え!僕はアンブリッジに近いところにいるんだ。言い換えればあいつのお気に入りだぞ?そんなやつを信用するな!というかスリザリン全員信用するんじゃない!」
真面目な顔でまくし立てるドラコに、レイは仕方なく頷いた。
「今回の話は聞かなかったことにしてやるさ……くれぐれもあの人の怒りを買わないように、やるからにはうまくやるんだ。いいな?」
「はーい……」
レイはややしょぼんとしながら頷いた。
「……なら今回のホグズミートは一緒に行けそうにないな」
ドラコは小さく呟いた。
「へ?どうかした?」
「……っ!なんでもない!」
ドラコはそっぽを向いた。



レイはハニーデュークスの前でひとり待っていた。
「よし、連れてきたぜ」
「万事順調だ」
現れたのはフレッド、ジョージ、そしてデニスだ。デニスは首からコリンのカメラを掛けている。
レイのプランはこうだった。デニスに背を伸ばす魔法薬をのませ、コリンのカメラを首からかけさせる。こうすればまじまじ見ない限りはデニスはコリンに見えた。そしてハリーに借りた忍びの地図を確認しながらハニーデューク経路でホグワーツを抜け出す。もちろんデニスを連れてだ。

そこでハニーデューク経路を使う際の注意点などのアドバイスを双子に求めた。すると乗り気の双子は、レイの代わりにデニスを連れてくる役目をかって出てくれたのだ。具体的にはフィルチの検問を通った後で、ハニーデュークスに向かい、フレッドが店員の気を引いている間にジョージがホグワーツへ往復してデニスを連れ出す、という作戦。ふたりの協力のもと、レイはホグワーツでコリンを送り出した後にフィルチの検問を通過し、ここハニーデュークスの前にて集合した、という次第だ。

「いい、デニス?今日は特別だから、このルートを普段使ったらだめだからね?ここを通れるのは、フレッドとジョージみたいな悪戯の天才だけだからね?ばれたら退学になってしまうかもしれないわ。デニスも、デニスにこれを教えたフレッドとジョージも、わたしも」
上級生としてレイはしっかりとデニスに忠告した。
「悪戯の天才とは、嬉しいことをいってくれるじゃないか、姫」
「ああ、感極まりそうだ、兄弟よ」
ふざけた雰囲気の双子とは対照的に、デニスはうんうん、と首を縦に振った。
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