HP and SB 3 ○騎士団編

□10 formation
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「さてと。もう少し時間があるけれど、デニス、どこか行きたい?帰りは終わり次第すぐに帰る予定よ」
レイが問えば、デニスは双子を見た。
「ゾンコに行きたい!」
「「いい返事だ、少年よ!」」
そこで四人は生徒でごった返すゾンコの魔法悪戯専門店に言った。そこにはまるで示し会わせたかのようにリーがおり、双子とリーはたっぷり商品をかごに放り込む。デニスは少ないお小遣いで何を買うか真剣に悩んでいた。レイはデニスから離れない位置で、双子たちの悪戯に協力するときのために、店頭の商品をじっくり観察する。
「おまたせ」
しばらくするとリーがゾンコで一番大きな紙袋を抱えて現れた。その後ろには同じ紙袋を抱えたフレッドとジョージもいる。
「デニス、急いで買っておいでー」
時間に気がついたレイが言えば、デニスはきらきらした顔でレジに向かった。


ゾンコから郵便局の方に行き、横道に入るとホッグズ・ヘッドがあった。
「因みに来たことはある?」
「「もちろんさ」」
「材料の入手に使ったこともあれば、賭けで金を増やしたこともある」
その怪しげな風貌に恐れをなしたレイが聞けば、双子とリーは平然と答えた。
「あー……そう」
レイはため息をついて中に入った。

中はヤギのきつい臭いがした。窓はべっとり煤けて、日の光が中まで差し込まない。土を踏み固めたような床は、よく見れば何世紀にもわたる埃が石床を覆っているのだとわかった。
「……くっしゅん……」
レイがその店のほとんどを覆う大所帯に向かおうとすると、案の定くしゃみが出た。正直綺麗好きのレイには辛い店だ。
カウンターでは灰色の包帯で顔を覆った男ファイヤウイスキーを煽り、窓際のテーブルでは強いヨークシャー訛りの男の子二人組が話していた。暖炉脇の薄暗い一角では全身ベールの魔女が座っていた。
「やあ、お揃いかい?」
「ええ、あなたたちが最後」
フレッドが問えば、ハーマイオニーが答えた。
そこにいたのはハリー、ロン、ハーマイオニーの他に、ネビル、ディーン、ラベンダー、パーバティとパドマ、チョウとその友だちのひとり、ルーナ、ケイティ、アシリア、アンジェリーナ、コリン、アーニー、ジャスティン、ハンナ、スーザン、アンソニー、マイケル、テリー、ジニー、ザカリアス、セドリックだった。加えてレイ、フレッド、ジョージ、リー、デニスが現れたので、総勢30人になる。
因みにそのなかでレイが声を掛けたのが、コリンとデニス、セドリック、フレッド、ジョージ、ルーナだった。

「えー──それでは、こんにちは」
みんながバタービールを手にすると、ハーマイオニーがいつもより緊張したように言った。
「さて……えーと、私の考えでは、つまり──いい考えだと思うんだけど、闇の魔術に対する防衛術を学びたい人が──つまり、アンブリッジの教えているようなクズじゃなくて、本物を勉強したい人、という意味だけど──なぜなら、あの授業は誰が見ても闇の魔術に対する防衛術とは言えません」
「そうだそうだ!」
ハーマイオニーはとりとめのない話し方だったが、アンソニーは合いの手を入れた。

「──それで、いい考えだと思うのですが、私は、ええと、この件は自分たちで自主的にやってはどうかと考えました」
ハーマイオニーは少しずつ自信を持ってきていた。
「そして、それはつまり、適切な自己防衛を学ぶということであり、単なる理論ではなく、本物の呪文を──」
「だけど君は、闇の魔術に対する防衛術のO.W.Lもパスしたいんだろ?」
マイケルが言った。ハーマイオニーはすかさず答える。
「もちろんよ。だけどそれ以上に、私はきちんと身を護る訓練を受けたいの。なぜなら……なぜなら……ヴォルデモート卿が戻ってきたからです」

ハーマイオニーの言葉に、チョウの友達は金切り声をあげ、バタービールをこぼした。テリーは思わずびくりと痙攣し、パドマは身震いし、ネビルはヒエッっと奇声を発しかけたが咳をしてなんとか誤魔化した。しかし全員が、もともとチラチラ見ていたハリーとレイの方を、らんらんとした目で見つめた。
「じゃ……とにかく、そういう計画です。みなさんが一緒にやりたければ、どうやってやるかを決めなければなりません──」
「例のあの人が戻ってきたっていう証拠がどこにあるんだ?」
ザカリアスが食って掛かるような声で言った。
「まず、ダンブルドアがそう信じてますし──」
ハーマイオニーがいいかける。
「ダンブルドアがその人を信じてるって意味だろ」

「君、いったい誰?」
その言い方と顎でハリーを指す仕草に、ロンがぶっきらぼうに聞いた。
「ザカリアス・スミス。それに僕たちはその人がなぜ例のあの人が戻ってきたなんて言うのか、正確に知る権利があると思うな」
「ちょっと待って。この会合の目的は、そういうことじゃないはずよ──」
ザカリアスにハーマイオニーが素早く言った。
「かまわないよ、ハーマイオニー」
ハリーが言った。その声音に苛苛が含まれており、それが爆発に向かっていることがレイ、ハーマイオニー、ロンにはわかった。三人は素早く目配せし、まずいぞ、と確認しあう。
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