HP and SB 3 ○騎士団編

□10 formation
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「僕がなぜ例のあの人が戻ってきたと言うのかだって?僕はやつを見たんだ。レイもやつを見た。だけど先学期ダンブルドアが、何が起きたのかを全校生に話した。だから君がその時ダンブルドアを信じなかったのなら、僕のことも信じないだろう。僕は誰かを信用させるために、午後一杯を無駄にするつもりはない」
ハリーは声を荒げることなく淡々と言った。ハリーが話す間、全員が息を殺しているようだった。

「ダンブルドアが先学期話したのは、レイが例のあの人たちに殺されかかったことと、君が死にかけのレイをホグワーツまで運んできたことだ。詳しいことは話さなかった。どうやって君たちがあんな死にかけの状態になったのかは話してくれなかった。僕たち、みんなそれが知りたいんだと思うな──」
ザカリアスを見据えるハリーの目の色が変わった。あ、爆発する、とレイは思った。

「ヴォルデモートがどんな風に人を殺そうとするのかをはっきり聞きたいからここに来たのなら、生憎だったな。僕はあの夜何をされたのか、レイに何があったのか、話したくない。わかったか?だからもしみんながそのためにここに来たなら、すぐに出ていった方がいい!」
確かに一種の野次馬心はあるだろうな、とレイは思った。真に防衛術を学びたい者もいれば、ハリーとレイの話を聞いてみたいだけの者もいるだろう。しかし、以外にも誰も席を立たなかった。


「それじゃ……それじゃ、さっきも言ったように、みんなが防衛術を習いたいのなら、やり方を決める必要があるわ。会合の頻度とか、場所とか──」
沈黙の中、ハーマイオニーが話し出すと、スーザンが口を開いた。
「ほんとなの?」
スーザンはハリーとレイをゆっくり見た。
「有体の守護霊を創り出せるって、ほんと?」
集まった生徒が関心を示してざわついた。

有体の守護霊。その言い回しにレイは気がついた。
「もしかして、スーザンってマダムアメリア・ボーンズの親戚なの?」
レイの問いにスーザンは頷いた。
「私の叔母さんよ。叔母さんがあなたの尋問のことを話してくれたわ。それで──ほんとのほんとなの?雄鹿の守護霊を創るって」
「ああ」
アメリア・ボーンズにはお世話になったハリーは微笑んだ。
「因みにあの時は特別だったのだけど──わたしの守護霊は雄鹿ではなく不死鳥なの」
「すげえぞハリー、レイ!全然知らなかった!」
リーが心底感心したように言った。
「お袋がロンに、吹聴するなって言ったのさ。ただでさえ君たちは注意を引きすぎるからって」
フレッドがハリーとレイにむかってにやりとした。
「「間違ってない」」
ハリーとレイが声を揃えて辟易したように言い、何人かが笑った。

「それに、君はダンブルドアの校長室にある剣でバジリスクを殺したのかい?先学期あの部屋に行った時に、壁の肖像画のひとつが僕に言ったんだ……」
テリーの問いに、ハリーは顔を赤くした。
「あ──まあ、そうだ、うん」
ジャスティンがヒューっと口笛を吹き、クリービー兄弟は尊敬で打ちのめされたようになり、ラベンダーはうわぁ!と叫んだ。
「それに一年生のとき、言者の石を救ったよ──」
「賢者の」
「そう、それ──例のあの人からだよ」
ネビルの言葉をハーマイオニーが訂正した。ハンナの目が真ん丸になった。
「それにまだあるわ」
チョウがハリーを見て微笑みながら言った。
「先学期、トライウィザードトーナメントでハリーがどんなにいろいろな課題をやり遂げたか──ドラゴンやマーピープル、大蜘蛛なんかをいろいろ切り抜けて──」
「それはレイにも言えるね」
チョウの言葉を受けてセドリックが言った。レイはほんの一瞬、チョウの顔が曇った気がした。
今やみんなが感心してざわめいていた。

「聞いてくれ──謙遜とかそういうわけじゃないんだけど、僕はずいぶん助けてもらって、そういういろんなことをしたんだ……」
ハリーがそういうと、みんなはこぞって否定した。
「ドラゴンのときは違う。助けはなかっただろ?」
「それに──」
次々と送られる賞賛にハリーは戸惑っていた。最近は変人扱いされることのほうが多かったこともあるだろう。
「君、のらりくらり言って、そういう技を僕たちに見せてくれないつもりかい?」
ザカリアスが言った言葉にはやや皮肉が混ざっていた。
「いいこと教えてやろう。──減らず口叩くな」
ついにかっとなったロンが大声で言った。ザカリアスはロンのきつい睨みに赤くなる。

「だって、僕たちはポッターに教えてもらうために集まったんだ。なのにポッターは、本当はそんなこと何もできないっていってる」
ザカリアスの言い訳臭い言い訳に、場にいるほとんどの人が呆れた目を向ける。
「そんなこと言ってやしない」
フレッドが唸った。
「耳の穴、かっぽじってやろうか?」
ジョージがゾンコの袋から、何やら長くて危険そうな金属の道具を取り出しながら言った。フレッドが後を引き継ぐ。
「耳以外のどこでもいいぜ。こいつは別に、どこに突き刺したって構わないんだ」
「もう。フレッド、ジョージ!ザカリアスも、そんな喧嘩腰になることないじゃない」
レイが声をあげると、双子は冗談さ、と手をヒラヒラさせた。ザカリアスは一層赤くなった。
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