HP and SB 3 ○騎士団編

□17 prison break
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昼頃、談話室の掲示板だけでなく、廊下や教室にでかでかと張り紙がでた。

ホグワーツ高等尋問官令

『ザ・クィブラー』を所持しているのが発覚した生徒は退学処分に処す。以上は教育令27号に則ったものである。

ホグワーツ高等尋問官ドローレス・ジェーン・アンブリッジ

「これだから頭の弱い人間は……。随分と滑稽で愉快ですこと」
レイはひときわ大きな玄関ホールの告知を見ながら呟き、それからハッと手に口を当てた。
「……あー……うん」
レイが言葉を濁すと、驚いたように──見方を変えれば恐れたように──レイを見ていたハリー、ハーマイオニー、ロンはわざとらしい咳払いをした。久々に体をミオに乗っ取られた感覚だ。すぐに我にかえったのでまだよかったが。
「まあ確かに、頭は弱いわよね」
ハーマイオニーが一通りコホンコホン言った後で口にした。
「頭が弱い?どこが?」
一方でハリーとロンはよくわかっていない。ハーマイオニーは最大級ににっこりして言った。
「あら、ハリー、わからない?学校中が一人残らずあなたのインタビューを読むようにするためには、アンブリッジができることはただひとつ。禁止することよ!」

そしてその言葉は現実になった。生徒たちは数日のうちにみんなその記事を読んだようだった。ふくろう便が見張られているのに、どうやって入手したのだろう?きっとその辺はホグワーツの生徒らしく、うまく悪戯心と悪知恵を働かせたのだろう。
アンブリッジは廊下で生徒を引き留めては抜き打ちでチェックを行ったが、生徒たちの方が数枚上手だった。インタビューのページだけを切り取って、自分達以外がみたときには教科書の要約にみえるようにしたり、次に自分達が見るとき以外は白紙にしておく呪文をかけていた。
もちろん先生方もインタビューについて触れることは禁止されていたが、様々な方法で自分達の気持ちを示した。

スプラウトはハリー(と、おまけでレイも)がじょうろを手渡しただけで、グリフィンドールに20点ずつくれた。フリットウィックはハリーにチューチュー鳴く砂糖ネズミ菓子をプレゼントしていた。トレローニーは授業で、ハリーが長生きし、魔法大臣になり、12人の子供をもつという壮大にハッピーな?予言をしたらしい。古代ルーン文字学のバブリングは文法の解説に"その事実を知ってとても驚いた"とか、"私は君たちを信じる"とかを使ってレイとハーマイオニーをほっこりさせたし、質問に行った際にはバーベッジは日本茶をプレゼントしてくれた。同じく質問に行った際、初めて会った数占いのベクトルはレイを抱き締めてわんわん泣いた。アンブリッジの罰則があるにも関わらず、先生方のその様子はとても気持ちを穏やかにさせた。

「……帰ってよろしい」
罰則四日目の深夜、ハリーとレイはアンブリッジの部屋からでた。アンブリッジは一連の出来事に大層イライラしている。
「ハリー、先に寮に帰っていて。わたし、スネイプ先生のところにいかなくてはならないの」
レイが肩を指差しながら言えば、ハリーは黙りこんで考えた。
「……ついていくよ」
「いいわ。あなたが先生と折り合い悪いことはわかってるもの」
レイは苦笑した。
「でも、最近は信仰も激しいし……。うん、ついてく」
レイはハリーの責任感と優しさに小さく笑った。
「本当にあなたは──ううん、ありがとう」

ありがとう、と笑ったレイは儚かった。
普段は閉心術で気重な廊下をレイと歩く。スネイプは日付の変わった時間に訪ねられても怒らないのだろうか?
「……グリフィンドールのルーピンです」
レイは軽いノックの後に小さく言った。ガチャリとドアが開く。
「……ポッター」
スネイプは開口一番ハリーを睨み付けると呟いた。
「アンブリッジ先生の罰則の後で。ハリーが夜道を心配してついてきてくれたの」
レイはにっこり笑って解説した。
「……入りたまえ」
「あ、僕はここで待ってます」
ハリーはすかさず言った。
「わからんのか?ここにいることを彼女やフィルチに見つかれば厄介になることが。入りたまえ」
スネイプは高圧的に言い放ったので、ハリーは大人しく従った。
「ポッターはそこにいたまえ」
スネイプはハリーがドアを閉めると言った。仕方なくドアのところに立ち尽くす。
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