*夢*


□旅立ち?いや、逃走。
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『ここなら、出れる…。』

静かに戸を開く音が廊下に響く。


ー##NAME3##さん、有り難う。


恩人の名前を心の中で呟き、そっと家からでる。

##NAME3##さんと言うのは、私が売られ、この家に引き取られたときにすでに居た、1人の使用人、執事みたいな者のことだ。

その人が私を守ってくれた。
決して、この家の生活は不便ではなかった。

いや、ある意味、恐怖を感じた。

ここの家にいる者は、欲望や嫉妬などの生々しい者しかいなかった。

ある1人を省いては、
その##NAME3##さんだった。

##NAME3##さんは、いつも私に気を掛けていた。

私が疲れてたり、具合が悪いときはすぐに気付いた。

私が間違ったこと、危険なことをしたら、注意もしっかりしてくれた。

初めて、自分と本当に向き合える人が出来た。

私が旅立つときには、少し淋しそうだったけど…賛成してくれた。

さらに裏口まで教えてくれたのだ。

だから、今ここで私は家から出れた。

##NAME3##さんは家まで用意してくれた。

暗い夜道で、今までのことを思い出しながら、家に向かった。
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