よみきり小説
□不慣れ
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今なら恋人に素直な気持ちを伝えることが出来る。
「今日は冷えるな。」
「もっと着た方がいいんじゃないの。」
鞄に入れておいた、貴方へのカイロを出す事も出来なかった。
「そんなに車道に近付いたら危ないで。」
「何よ、急に!」
歩道の内側を歩かせようとしてくれた彼の気持ちを、素直に受け入れられなかった。
「俺たち上手くいかんし、別れた方がええと思うねん。」
「私だって、そう思ってたとこよ!」
可愛らしく「考え直して」って言えてたら、今とは違う、幸せな未来があったかもしれない。
「謙也くん!」
貴方とは幸せになれなかったけど、今、とても幸せです。
end.