D.Gray-man
□49番目の名前
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49番目の名前。
……『ラビ』
今の俺は……『ラビ』
誰かに、教団の団員に。
協力者に、ノアに
……ジジイに
呼ばれても、それは俺じゃない気がする
だって、俺はブックマンの後継者だ
名前なんてなくて。
故に、俺なんて居ない
それがブックマンの
歴史を、裏の裏まで記録する者の運命だ
今日もジジイと、教団vs.伯爵の『戦争』を記録する
たまに、ほんのたまに思う
『ラビ』じゃなくて。
48番目までの俺でもなくて
『俺』を愛してくれるヒトは。居るんだろうか――
そんな現実逃避をしながら、今日も『ラビ』は槌をふるう
潰して壊して――なかったことに
「ラビ。引き上げるぞ」
振り返れば、ジジイはブローカーを踏んでた
「痛ったそー」
「……」
「……どーかしたさ?」
「感情移入は必要ない」
「……イエッサァ」
無表情にジジイは歩き始める
俺も、少し遅れて歩き始めた
⇒The End.