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2人の奇跡
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――最初はただの偶然だと思ってた。


同じ血液型

同じ年齢

同じ学校

同じクラス

同じ将来の夢

同じ思考、考え方

何もかもが彼と同じだった。


そんなある日、彼は言った。

"「僕たちは運命の人同士なんですね」"

…運命とか、正直くだらない。

私はそう思っていた――





「兎汰ちゃん、こんばんは」



ただいま午前0時ちょっと前。

彼には常識と言うものはないのか…


こんな非常識な人は四ノ宮那月、彼だけだ。



『あの、もうすぐ0時なのですが』

「はい。そうですよぉ」

『…何の用事?』

「ちょっと待って下さい。…10、9、8、」



何かと思えば、いきなり数えだした。


何年一緒にいても、分からないなぁ…



「2、1、…誕生日おめでとうございます!」

『えっ…?』

「6月9日、僕とあなたの誕生日です」



確かに、私の誕生日は6月9日。

てか、四ノ宮くんも今日だったんだ…



『えっと… 四ノ宮くんも、おめでとう』

「ありがとうございます! はい、これ!」

『い、いや… 私、用意してないし』

「そうですねー… じゃあ、」



代わりに、と言うと頬にキスをしてきた。


びっくりした… これが代わり?



『だーめ、ちゃんと買うよ。何がいい?』

「じゃあ… 兎汰ちゃんが欲しいです」



真顔で言われた。

…目が本気すぎて、冗談に見えない。



「…前に言いましたよね?」

『え、と…』

「僕たちは運命の人同士だって」

『ああ… うん、言ったね』



四ノ宮くんは私の手を握った。

そして真っ直ぐ見つめて――



「これは、僕の人生で最大の奇跡です」

『…?』

「君と僕が出会えたこと、ですよ」

『まぁ… 70億分の1だしね』

「そして、僕は君に惹かれたんです」



…この人は、サラっと言うんだなぁ。

私は顔に熱が集まったのを実感した。


すると、顔を覗き込まれて、こう言われた。



「僕と、付き合って下さい」

『…うん』

「ふふ。奇跡の中の奇跡ですね」

『え?』

「運命の人に出会い、お互いに惹かれた」



ふわりと抱きしめられた。



「大切にします。愛してます、兎汰」

『私も、好きだよ… 那月くん』

「ふふ。僕、とっても幸せです!」







(那月くん… ごめん、もう眠い…)

(じゃあ、眠るまで傍にいますね!)

(え…)



 20120609

\ Happy Birthday /
癒し系で優しいなっちゃんが大好きです!
 

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