ケロロ軍曹
□争奪!タママvs睦実!
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「ふぅ、危なかったぁ」
そこには、どこかで見た覚えのある盾を構え、冬樹を抱え込んだ睦実の姿があった。
それが何だか様になっていて、自分がちっぽけな存在にすら感じられて……。
しかも、二人がとてもお似合いのカップルに見えたのだ。
すると、支配していた嫉妬の塊は罪悪感に変わり果て、タママは力無くその場に立ち尽くしていた。
「……ボク、間違ってたですぅ。こんなやり方でフッキーを手に入れようとしていたなんて……自分が情けないですぅー」
そんな彼に冬樹は駆け付けるとその肩を支えてあげた。
覗き込めば涙をいっぱいに溜めている。
「大丈夫だよタママ。僕も睦実さんも怒ったりしてないから」
「フッキー……ごめんなさいですぅー」
そして、冬樹に抱きつき泣き出したのだった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それから、タママはひとしきり泣くといつもの元気を取り戻していた。
その表情は何かをふっ切ったような感じでもある。
「もう、いいのかい?」
優しく声を掛けてきた睦実に、タママは怪訝そうにそれを伺う。
だが、睦実がもう戦闘態勢でないと分かると、強張っていた肩の力を抜いてそっぽを向いた。
「今回は悔しいけど負けを認めるですぅ。だけど、次は絶対負けないですよ!」
「……君も懲りないね」
「負けず嫌いですから」
そう言って悪戯っぽく笑うと、冬樹の手を取り出口へ向かって歩き出した。
「あーあ、小腹が空いたですぅー」
「そういえば、姉ちゃんがケーキを焼いてくれたんだ。おやつにしよっか」
「ナッチーのケーキ!わーい、おやつにするですぅー♪」
こうしてタママと睦実の冬樹争奪戦は平和に(?)幕を閉じたのでありました。
*END*
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