(マ)シリーズ
□そして闇へ
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暗い闇の中へおれは堕ちていく。
光も届かない闇の底へ……。
§そして闇へ§
「ふぁ〜、さっぱりしたぁ」
おれが風呂から上がると、すでに金髪碧眼美少年はグッスリとおやすみになっていた。
「ま、82だから仕方ないっちゃー仕方ないけどさ」
おれのこと待っててくれたってよくねぇ?
あーあ、今日は一段と爆睡ですから。
「……ってゆーか、静か?」
そう、あの寝息。
こっちにいる間は一日たりとも聞きそびれたコトがない寝息が聞こえてこない。
「ヴォルフ〜……」
恐る恐るヴォルフの寝顔を覗くと、どこか疲れているような感じがしないでもない。
そーいやぁ、昼間グレタがヴォルフに大丈夫かって聞いてたっけ。本人は平気だって言ってたけど……最近ボーッとしてるコトが多いよな。
「……ん、うぅ」
「ヴォルフ?」
怖い夢でも見てるのかな?
「そうだ!」
こんな時って落ち着かせる為に頭撫でたりすると良いんだっけ?
……にしても、どんな夢見てんだろう。
まさか、おれじゃない別の好きな奴の夢とか?
「…………」
いや!ヴォルフに限ってそんなコト……ないよな?
「だよな?ヴォルフ」
おれはやわらかな金の髪を撫でながら、その綺麗な寝顔に小さく問い掛けた。
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それから数時間後
おれは暗闇の中にいた。
そこは見渡すかぎりの暗闇。
何ともいえない恐怖がおれを包み込んでいた。
怖い……。
「さぁ、来るんだ」
……声。
誰だ……誰を呼んでいるんだ?
「お前は私の人形……そうだろ?ビーレフェルトの子孫よ」
ビーレフェルト?
それって……
「違う!ぼくは人形なんかじゃない!ぼくは……」
ヴォルフラム!?
どうして……
あれ?なんだ?
声……おれの声が出ない。
「さぁ、来るんだ」
「嫌だ、行きたくない!ユーリ!ユーリィ!!」
ヴォルフ!
ちくしょう!
何で声が出ないんだよ!?
ここだっ、ヴォルフ!
おれはここにいるぞ!!
「くっくっ、いい子だ。褒美を与えてやろう」
「や……ふぁ。ゆ、ユーリ……んンっ」
誰だよ!
おれの……おれのヴォルフに何してんだ!?
やめろっ、やめてくれぇ!!
ヴォルフに触れるなぁーーーーっっっっ!!!!
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