(マ)シリーズ

□甘いキスを……
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§甘いキスを……§




ユーリがあちらに行ってから五日が経ってしまった。


ぼくはアイツの帰りを待っている間、グレタの勉強をみたり剣の特訓をしたり執務の仕事を手伝ったり……そうやって日々を過ごしている。


平穏といったら平穏だ。


だけどぼくの隣にはユーリがいない。



「俺がいるじゃないか、ヴォルフラム」
「……お前がいても嬉しくない」
「そうか……ちょっと(大分だけど)傷ついたなぁ」


ぼくは紅茶に少量のジャムを入れながら奴の横顔を視野の隅で盗み見た。
傷ついたと言う割に穏やかな表情(かお)をしている。


「ヴォルフは随分と成長したな。精神的にも外見的にも」
「ちょっと待て!精神的にというのは分かるが外見というのはどういうコトだ!?」


ぼくが厳しい顔でコンラートを睨むと案の定、当の本人は人のいい微笑みを浮かべていた。
こいつはいつだって事も無げにこんな笑顔をしている。


「綺麗になったよ」
「なっ、何を言ってるんだ!!」
「身体も綺麗だ」
「―――ッハァ!!?」
「筋肉もソコソコついてはいるが、華奢で線が細くて白い肌が性欲を刺激する」
「コンラート貴様ッ、自分が今何を言っているのか分かっているのか!!?」
「分かってるよ?俺はヴォルフ……お前がほしいんだ」












チュ☆




「―――ッ!!!!」










「甘い……糖分は少々控えた方がいいぞ?ヴォルフラム」
「な、な、な……っ」


触れ合った唇から熱が広がった。
あの日以来の……。


「コンラート!!」
「ごちそうさまでした♪」
「楽しそうに言うなぁ!」




だけど少しだけ……ほんの少しだけ




「うっ!違う違う!」
「ヴォルフ?」
「とにかくっ、この事はいつか穴埋めさせてもらうからな!いいなっ!?」
「はいはい」




こいつだけには言ってやらない!
















嬉しかったなんて!




*END*

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