ケロロ軍曹

□a shooting star
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☆a shooting star☆





星も月もない夜。

僕と睦実さんは人気のない公園のベンチに、肩を並べて座っていた。時折吹き抜けていく風は僕たちの熱を奪っていくように過ぎ去っていく。


「もう冬になるんですね」


僕らを照らしている外灯は、今にも消えてしまいそうに瞬いている。その光の影を見つめながら僕は耳を澄ませた。


「静かだなぁ……」


虫の鳴き声すら聞こえない。まるで二人だけの世界のような錯覚にさせられる。

それにしても……と、僕は隣に座っている彼を見つめた。


「えっと、睦実さん?」

「なんだい、冬樹君」

「……その、何をしているんですか?」


彼は先程からずっと黙り込んで、漆黒の闇ばかりを見上げていた。


「星探しかな」

「星……ですか?」

「そ、見つかるかなって」


どこか楽しげな口調につられて僕も夜空を見上げてみた。しかし、見上げたそこには何もない暗闇が広がっているばかりで。


「何もないですよ?」

「あはは、それじゃ見えないさ」


「え?」と睦実さんの横顔を伺うと、振り返ったその瞳とぶつかってしまった。
その澄んだスカイブルーの瞳に僕だけが映っている。気恥ずかしい……けど、ずっと見つめていたい。


見つめられていたい瞳。


「あ、あのぉ……」


どうしよう、鼓動が速くて息が詰まりそうだ。


「そこにあるものをただ見ようとしてるだけじゃ駄目だよ。見つけるのさ」

「へ……」

「そういえば、君を見つけた時もそうしたっけ。ほら、ココロの目ってやつだよ」

「あ……そっか、睦実さんは僕と軍曹を見つけだしたんですよね。思えばそれって凄いことかも」


すると、優しい微笑みが近づいて唇に触れるだけのキスが落ちてきた。
触れただけなのに、そこから熱が広がって甘い幸せが溢れてくる。


まるで魔法みたい。


「あ、見て冬樹君」


唐突に名前を呼ばれ、僕は示された夜空を見上げて驚いた。


「わぁっ、流れ星!」


闇を切り抜けていくキラキラと尾を引く光の雫は、息を呑むほど綺麗で幻想的で……。


「すご……い」

「冬樹君」


茫然としていた僕の頬を一筋の涙が零れ落ちた。
そこに睦実さんの手が触れた途端、我に返った僕は慌てて服の袖で顔を拭って笑ってみせる。


「やだな、感動しちゃったから」

「隠さないで、ほら」

「……え?あっ……」


睦実さんの唇が涙の跡を辿るように伝っていく。そのやさしくて温かい体温が心地よかった。

願い事が叶うならお願い神様。








僕たちを見捨てないでください。










胸いっぱいに広がるこの感情も、大好きだって感じる気持ちも、全部嘘じゃない僕の想い。


「冬樹君の流れ星、俺が受けとめるから。これからずっと、ずっと……」


抱き締める腕の中で、僕はそっと呟いた。睦実さんにも聞こえないくらい小さな声でそっと。





「大好き……」




*END*
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