ケロロ軍曹
□まどろみ
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開け放たれた窓から、風がそよそよ吹き込んで気持ちいい。
そっと瞼を閉じれば、このまま眠ってしまいそう。
そんな日曜の午後。
僕は今、睦実さんの家にお邪魔している。
「あれ、冬樹君。その本、読むんじゃなかった?」
「あ……そうでした」
ずっと探していた本を、睦実さんが僕のために借りてきてくれたんだ。
だから今日は、スゴく楽しみにしてて。
それなのに……それなのに……。
「眠い」
まるで瞼に重りをつけてるみたい。それに、この何ともいえないまったり感。
あー、ぐっすり眠れそう。
そう思っていると、睦実さんに身体を引き寄せられてしまった。
「んじゃ、俺の胸貸してあげよっか?」
「え、いっ、いいですよ……」
「遠慮しなくていいって」
こんなに密着してたら鼓動が伝わっちゃいそうで緊張する。
だけど、睦実さんの体温が心地よくてまた瞼が重く……なって……。
「あれ?本当に寝ちゃった」
僕の夢の中でも睦実さんはやさしく微笑んでいた。
「まだまだ子供だな」、なんて言って。
睦実さんだって子供じゃないかって返してあげたいけど僕はそれもできない。
だって、こんなに微笑んでいる睦実さんの顔を見たら……僕は何もできなくなる。
だけど、幸せだって思う。
ううん、僕は幸せなんだ。
だからずっと、こうしていたいなんて思ってしまうんだ。きっと。
大好きな人の隣で……。
*END*