□NAME
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俺は君を見つけた瞬間から感じていた。

これは偶然じゃない。


運命なんだって。






★★★★★★★★★★★




同じことをただ繰り返す退屈な毎日。俺は空っぽだった。
そう、クルルと出会う前は何も楽しいことなんてなかった。


「俺の仲間?……さぁ、知らねぇな。マヌケな連中だから今頃は地球人に捕まってんじゃねーの」


クルルに仲間がいると聞いて俺は胸が高鳴った。
きっとスッゲェ変わった面白い奴がいるに違いない!


「そりゃー大変じゃんか!なっ、捜そうぜ?俺も手伝うからさ」


俺は暇を見つけては色んな場所を捜しまわった。
まるで空っぽの穴を塞ぐ蓋を捜すように彷徨い歩いた。




そして……

見つけたんだ。




広い宇宙(せかい)で俺は彼という存在に巡り合った。


「日向……冬樹」


冬樹君と接触するたびに俺の空いていた隙間が徐々に埋まっていった。
彼の何気ない仕草や暖かくて優しい電波が俺を癒してくれていた。


傍にいたくて、理由を付けては冬樹君近づいたりもした。


「ねぇ、冬樹君」

「何ですか?623さん」

「自分の赤い糸が誰と繋がっているか気になったことってない?」


冬樹君はキョトンとした表情で俺を見返して首を傾げた。


「冬樹君の糸が俺と繋がってたら嬉しいのになぁー、なんて……ね」

「623さん?」


鈍感な彼には伝わらなかっただろう。俺の本音。


「俺のこと睦実って呼んくれないかな?623じゃなく睦実って」

「突然どうしたんですか?」

「うん、何となく」


俺にとって冬樹君はみんなとは違う。


だから……。


「冬樹君にだけそう呼んでほしいんだ」


特別だから、本当の俺の名前を君だけに……。




*END*

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