創作BL

□おはようの朝
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季節は本格的に夏になった7月。




彼は知っているだろうか僕の気持ちを。


…まぁ、知っていなくてもそんな事はどうでも良いけど。


「あれ」


想えば何とやら。
彼が息も荒く走って来るじゃないか。


「やぁ、おはよう」
「あ、おはようございます夏先パイ」


肩で息をしながら僕のとなりで彼は屈託のない笑顔で微笑んでくれた。


「今日も可愛いね聖太くんは」
「もう!何呑気なコト言ってるんですか先パイ!遅刻しちゃいますよ!?」
「おやおや、もうそんな時間かい?それじゃ急いで教室に駆け込まないといけないね」
「先パイはのんびりし過ぎなんですよー」
「そうかな?」


軽く走りながら聖太くんのご忠告を聞き入れる。
彼の息遣いが心地よくてそこばかりに僕の耳は集中してしまう。



「聖太くん」
「え?」





「好きだよ」





「……っ!」





聖太くんの足が止まった。僕もそれに同調して止まってみる。

突然の告白はさすがにダメだったかな?

学校の門まであと数歩……急ぐ生徒たちが僕たちを通り越していく。


「夏先パイ」
「なんだい?」


下を向けていた顔を真っすぐに僕に向けている。
大きな黒い目が僕を捉えて離さない。




「ぼくも……ぼくも先パイが好きです!」


「……聖太くん」





こうして僕たちの恋が始まった。












「ところで聖太くん」
「はい!」
「今はとりあえずダッシュしようか?」
「えっ、わわ!
夏先パイ急いでぇーーーー!!」


これは今から夏休みが楽しみだ。




*END*

 

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