創作BL

□夜の恋人
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彼と会うのは決まって夜だ。



初めて出会った時も夜の街。その日に身体を重ね合った。
お互いに運命だと感じたからそういう行為に到ったのだけど……。


「折角こうして会えるのに、いつもセックスで終わってしまうね」


オレは17でまだ学生、彼は社会人。だから会う日も時間帯も限られてしまう。
ましてや、会えるのは夜に限定されているから、数時間しか会えないことになる。
その大事な時間は、毎回セックスで終わってしまうんだ。


「愛し合える行為だよ。それとも、俺じゃ嫌かい?」
「そうじゃないけど……、ほら、たまには食事に出かけたりとかしたいじゃない」
「うん?」
「……ううん、やっぱり何でもない」


彼はいつだって優しく微笑んでいる。そんな笑顔を見ていると、オレの問い掛けたい事もしたい事も、みんなどうでも良くなってしまう。
夜しか会えなくても、セックスしかしなくても、どうでも良い。こうして彼を独占出来るなら。


オレはそれでも良かったんだ。


しかし、そんな甘い時間は突然打ち破られた。












「あ……ッ!?」











背中に熱いとも冷たいともいえない痛みが走った。




振り返ると、そこには血の着いたナイフを持った彼がオレを見下ろしていて。


「何?何を……」
「綺麗だね。俺の理想道理だ」




「―――っ!!?」




一気に血の気が引いていくのが自分で分かった。













殺される!!!













「君は永遠に俺のモノになるんだよ」


振り落とされるナイフが鈍い光を放つ。オレはそれをぼんやりと見ていた。




オレの肉にナイフが突き刺さる音が聞こえる。




何度も、何度も突き刺さる……。








意識がなくなるまで、音はオレの耳に鳴り続いていた。





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