ケロロ軍曹
□冬樹侵略!―開―
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ポコペン……それは私たちにとって侵略する星の一つ。
もともとケロン人はそうしてこの宇宙を制圧してきたのだ。
「ガルル中尉です、お呼びですか」
私も今までそうしてきた。
『ガルル中尉、君にしか頼めない任務を命じる。ポコペン人の未知なる力……それを調査し、我がケロン人に対してどれだけの影響を与えるのかを報告してほしいのだ』
ポコペン人の未知なる力。
あの時あの少年がケロロ軍曹殿に起こした奇跡。アレのことだろう。
「了解。只今より任務を決行します」
☆冬樹侵略!―開―☆
ポコペンに着くと辺りは暗く、夜中であることが分かった。
私はたった一人で日向家へ侵入すると、暗闇が広がる通路を静かに進み、以前にも訪れたことのある部屋へとやって来た。
ここに寄るには訳がある。
ケロロ小隊が開発したという擬人化システム…それを付けてもらう為なのだ。
これから行う任務には不可欠な代物だろう。
「これで擬人化出来るようになったというワケか」
「まぁ、そういうこったな」
「……」
ケロロ小隊参謀・クルル曹長…彼は素っ気ない態度で私から視線を逸らすと陰湿な笑いを洩らした。
「どうした、何か言いたいことがあるなら言ったらどうだ?」
「いや〜なに、突然の訪問と思いきや開口一番にコイツを付けろって言われてよー、疑問に思わない奴がいるかぁ?ってね」
以前、ポコペンへ襲来した際にタルル上等兵から情報を得てはいたが悪趣味というか……情報以上に陰気な男。
しかし、あの戦闘から推測すると、そうとう頭がキレるのは確かだ。
「言わなくても大体の予想はついてるけどな。しかしよぉ、ガルル中尉…やり過ぎちまうとこっち側の奴らが黙ってないかもなぁ?クーックックックッ」
「ふふっ、それはそれで楽しませて頂けそうだ」
「だろぉー?」
なぜ私がココへ来たのか、既に彼は察しているようだ。
そして何気なく威圧まで与えてくる。
私は少しばかり会話を交わした後にクルル曹長へ軽く礼をし、その場…地下秘密基地を後にした。
「フム……よく眠っておられるようだ」
ケロロ軍曹殿の眠っている横を通り過ぎると、ある目的の場所へと向かう。
「日向冬樹」
不思議と歩く速さが上がる。はやく会いたい為か。
そして手は自然と擬人化システムのスイッチを押し、視線は一瞬にして高くなった。
身近にあった物で己の姿を確認すると、そこには目付きの鋭いポコペン人の姿をした自分がいた。
「これが私なのか」
髪の色はネイビー、瞳はパープル。
片目が見えるか見えないかの髪型をしている。
この姿を冬樹は気に入ってくれるだろうか?
「冬樹」
その名を口にした途端、胸の鼓動が高鳴り、そしてそれと同時に、ほんの少しの不安が頭の片隅を横切った。
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