ケロロ軍曹

□冬樹侵略!―開―
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二階へ上がると一つの扉の前で足を止めた。


「……」


この扉の向こうに彼はいる……開けてしまえば後戻りは出来ないだろう。
止めるならば今しかあるまい。

しかし、私は任務の為にここまで来たのだ。
いや、それだけだといったら嘘になる。
私はあの日以来、彼のことを忘れたことなどなかった。


「どんな切っ掛けでもよかった。再びこうして」


冬樹に会えるなら。

だから後戻りなどしない。冬樹を私の下へ……手段など何でもいい。


「任務開始」


扉は難なく開き、薄暗い部屋には静寂と微かな彼の気配。
目を細めながら視線を一角に止めると、小さな寝息をたてている少年を確認した。


近付き覗き込んで見てみれば、まだあどけない寝顔。
吸い付きたくなる健康的な肌に甘く寝息を漏らす麗しい唇。
それは誘っているかのように息づいている。


不意に気付くと、自分の鼓動も息遣いも早くなっていた。

止められない。この獣のような理性はもう自分でさえ止められない。





ほしい……。





冬樹がほしい。





そっと頬に手を這わせると冬樹は小さく身を縮め、頭を撫でてやれば暖かい息を漏らす。
そして額に頬に優しくキスを落としていけば無意識にだろうか、腕に力なくしがみ付いてきた。


「冬樹」


耳元で名前を囁くと肩を震わせ、今よりも一層強く腕にしがみ付いてきた。




任務を遂行しよう。
ポコペン人の未知なる力……我々の科学では調査出来ない領域を知る為に。
しかしこれは、任務にかこつけた自己的な行為になるだろう。


どんな手段を用いても。
例え任務だとしても使えるものは使う。




冬樹を私のモノにする為に。





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