ケロロ軍曹
□冬樹侵略!―開―
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――僕は夢を観ていた。
冷たくて大きな手……僕の頬に触れるその手は、ヒヤリとする程冷たいのに優しくて、どこか懐かしい感じがした。
そう、ずっと前にも。
……お父さん?
そうだ、お父さんに撫でられた時みたいなんだ。
とても落ち着く。
僕は、この夢が覚めなければ良いのにと思った。
けど、夢から覚めた現実は、僕の朦朧とする思考を高速に覚醒させた。
「――ッ!?だっ、誰!?」
目を覚ますと、ベッドの脇には長身の男の人が僕を見下ろしていた。
驚きはしたけど、それ程恐怖は感じなかった。
(誰だろう?軍曹……伍長?)
暗くて分かりにくいけど、目の前の人物は軍服を着ているみたいだった。
(軍曹たちじゃない?じゃ、この人は)
でも、この気配というか威圧感を僕は……僕は知っている気がする。
張り詰める空気に鋭く見つめられる感覚。
僕は不意にある名前を口走っていた。
「ガ……ルル?」
身体が震える。
恐いからじゃない。
そうじゃない。
寧ろ僕はガルルに会いたかったのだから。
「ガルルなの?」
上ずった僕の声に対してなのか彼は口の端を微かに上げ、そしてゆっくりとした手つきで僕の唇に親指を這わせて言った。
その声は低音なのによく通る声で、僕は不謹慎ながら感じてしまった。
「勇敢なるポコペンの少年……日向冬樹。お前に協力してもらいたい、返答は許されない」
僕がガルルに協力を?
返答は許されないって一体何をしようというんだろう?
まさか地球侵略!?
「しッ、侵略の手助けなんてしないよ!もしそうなら僕は」
「侵略、そうかもしれない。しかし、今回はポコペンではなく冬樹、君を侵略させて頂く」
「……ぼ、僕を?」
言っている意味が理解できないでいると、いきなりガルルに両腕を強く捕まれてしまった。
イタイ……。
「我々の科学では計り知れないポコペン人の力を知りたい。あの時、君はケロロ軍曹殿をその力によって元へと引き戻し我ら小隊を打ち負かした」
「う……え?えっとそれはただ単に友達の絆っていうか、後半は僕がやったワケじゃないし」
「冬樹!」
「はっ、はい!」
「愛している」
「はぁ……って、ええー!?急に何を言い出すの!?」
あ、愛しているだなんてそんな……睦実さんにしか言われたことないセリフ。
もしかしてこれは、僕を油断させるための演技?
「愛している、だから私は冬樹がほしい。君を実験台にすることでまたこうして君に会えた。そして接触することを許されている」
「実験台にって」
「私について来てくれ」
「そんな……うわぁ!?」
困惑していると、ガルルは僕を抱き上げ、深夜の闇の中へ連れ去ったのだった。
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