その他

□交わらない路
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放課後の、部活が始まるまでの少しの時間。
それが二人の時間だった。

「やっぱりさぁ、家継いで医者になりたいとか思ってるの?」
「そうだが」

当然だろう?表情がそう物語っていた。

「だよなぁ…」

椿だったらきっと。

夢で終わらせずに、きっと実現させるのだろう。それだけの才能もあり、人一倍の努力を積んでいるのを藤崎は知っている。

「お前は進路は決めてあるのか?」

大学へ進むのか、専門学校に行って手に職を付けるのか、はたまた就職をするのか。

漠然と迫る未来。
この年齢で決められるかっての!

けれどどの道を選んだとしても、はっきりと示された椿の道とは重ならない。

「んー…?全然」
「そうか…、だがまだ時間はある」

時間はあっても重なるものでもない。

絶対の差

「なぁ椿ぃ」
「何だ?」

椿はちらりと腕時計を見る。もう時間だ。

「せめて卒業するまでは、俺の腕の中にいてくれよな」

椿の眉間にぎゅっと皺が寄って怒号を発しようかと、口を開きかけたが、それが力なく閉じていく。
藤崎の淋しそうな笑みが全てを語っていた。
再び口を開くまで少し時間がいった。









「ずっと俺と一緒にいろ、くらい言えないのか」

言えねぇよ。
お前が大切だから。
だから言ったらダメなんだ。

どこまで行っても二人の道は重ならないから。









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