BOOK

□あいつは不埒なキス泥棒
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「ミルキー、君浮気してるでしょ!!」
「はァ?」


会うなりエロゴンは突然そんな事を言ってきた。


「何の話?」
「俺知ってるんだからなっ!あの白い携帯はどこのどいつだよ!!」
「白い携帯なんていっぱいいるから解らないわ。」
「あいつだよ!あの…だからァ!!」
「?」
「この前夏期講習でご主人が別れたあと逢い引きしてたじゃねぇか!レディ・ガガのCDとスケダンの18巻をミルキーの主人が渡してたその相手の携帯だよ!」
「一瞬の間に何処まで見てんのよ。あの携帯が何?」
「ジュマロから聞いたぞ!ミルキーあの携帯に毎朝モーニングコールしてるんだってなァ!!!」
「……………は?」
「ひどいっ俺には全然モーニングコールなんかしてくれないのにっ!てゆーかご主人のメールを届ける時以外俺には何の接触もしないのに!!」


エロゴンはぷんぷん怒っている。何なんだ、バカ何だろうか。ジュマロめ…話すならちゃんとキッチリ話ししなさいよ、いやエロゴンが勝手に勘違いしてるだけか?本当にバカね。


「あのねぇ…、あの携帯はご主」
「バカぁっ!俺にもモーニングコールしてよ!甘い声で毎朝俺を起こしてくれよ!ミルキーの声聞いたら俺朝から色んな意味で元気になって覚醒しちゃうよ!」
「色んな意味って何よ気持ちわ」
「俺のアナログスティック☆」
「話なくていい!」
「で、モーニングコールはぁ?」
「嫌よ面倒くさい。それに朝は基本ご主人が深夜にネット使ってそのまま充電しないからキツイのよ。」
「大丈夫だよ、夏休みだし瀕死になる前に充電してくれるって!」
「とにかく嫌よ面倒くさい。なんで朝っぱらからあんたの声聞かないといけないのよ。それにあんたいつも朝はエアコンでノド痛めてガラガラじゃない。」
「ハスキーボイス!」
「はぁ…。」
「だって考えてみてよ、ミルキーが眠いながらも俺のために電話をして"起きたぁ…?"って甘い声で起こしてもらって、そしたらね、俺"んん……ねみぃ、"って言うんだけど、ねぇ聞いてる?」
「ハイハイ。」
「んでね、そしたらミルキーが少し強めの口調で"二度寝しちゃダメだよ"って言ってさ、でも俺はやっぱりまだ寝たくて、だから"ちゅーしてくれたら起きる"ってミルキーに言うんだけどミルキーは"電話越しでキスなんかできないわ"って。そこで俺は"リップ音たてて"って言ったらミルキーは最初恥ずかしがるんだけど最後は仕方なくちゅってやんの、でも俺はちゅーしなくてミルキーのリップ音聞いてさ…、聞いてる?」
「ハイハイ。」
「そしたらミルキー怒っちゃってね、だから俺がごめんって言ってちゅってやるんだ!ミルキーは顔真っ赤にして恥ずかしいとか言ってる所に"音だけじゃ足りない…?""そ、そんな訳ないでしょ""嘘ついちゃいけませーん"ってミルキーをからかってね。そこで一旦俺は電話切ってミルキーの部屋まで行って、突然後ろからミルキーをギュッと抱きしめて"おはよ"って言ったらミルキーにキスして"電話越しなんかよりずっといいでしょ?""……バカぁっ"って言って俺達は甘い朝のひと時を過ごすんだよ!キャー!!!」
「ハイハイ。」


実は何も聞いていなかったが何やら長々と語っていたのは分かった。相変わらず妄想がたくましい、エロゴンの妄想だけで本を一冊出版できると思う。
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