キリ番・捧げ物

□SPY
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『すまねぇ、急用が入って……日曜のデート出来なくなった』

そんなメールがたった今届きました。
久しぶりのデートだったから凄い楽しみにしてたのに……深く溜息を漏らして了解と短い返信をしてベッドに携帯を投げた。

忙しい人だから、それを理解してるからいいんだけどさ…でもここ何ヶ月デートしてないんだか分かってるのかな。
一緒に住んでてもすれ違ってばっかり。寝る時は俺様の隣に来てくれてるのは分かってるから、飽きられてるわけじゃないのは分かってる。


「……尾行してやる」

俺様との予定を断ってまでの用事だ……何かある。信じてない訳ではないが、気になるから仕方ない。
そうと決めたら決行!明日はばれないようにこっそり後を着けていこう…。





翌朝。
「本当にすまねぇな……行ってくる」

眠っていると思ってる小十郎さんが優しく髪を撫でて静かに部屋を出て行った。玄関の鍵が掛かったのを確認すると、俺様は直ぐに着替えて後を追う。
ってか、車だったらヤバいな……そう感じれば急いで非常階段を駆け降り駐車場へと向かった。

「あれ、車がある……」

エレベーターも地下には止まらず一階止まり。今日は歩き?
急いで裏口から外へと出ると、小十郎さんの後ろ姿を見付けた。慌てて隠れて距離を保ち、こっそりと着いて行った。


街へ出れば人混みに紛れやすい。見失わないように、気付かれないように気配を消し尾行する。元忍をナメんなよ。


「え……」


待ち合わせでもしていたのだろう、小十郎さんに一人の女が近付く。親しげに話して……腕、組んで…ちょっと!何それ!

小十郎さんが浮気?
俺様とのデートキャンセルして女とデート?女と……

「は……あははっ」


ペたりとその場に座り込みやり切れない笑いを零す。
そうだよ……それが『普通』なんだ。
男の俺様との関係は『普通』じゃないんだ。

普通………普通って、何?


もう訳解らない。
賑やかな街の騒音すら聴こえない。

フラフラと立ち上がり、どうやって帰ったか解らない程の状態で帰宅し、ベッドに倒れ込んた。



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