ICE CANDY BABY

□危険すぎる
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「あ、あれっ?職員会議?」

やっと保健室に辿り着いたけど、先生はいないみたいだ。
なんで職員会議なんか今やってんだ!ミズサワのピンチなのに!
会議室にいます、って貼り紙がしてあって電気も消えてた。

「フルダテ、ドア開けてくれ」
「あっ、ハイ!!」

急いでドア開けて、電気つけてベッドのとこのカーテンも開けると、イシカワ先輩はミズサワをそっと寝かせて、パパッと靴脱がせた。

「先輩っ!おれが!おれがやりますからっ」

ネクタイも外そうとしたイシカワ先輩の腕に飛びつく。けど、これどーやって解いたらいいんだ?!自分のネクタイ解くのとは向きが反対だから、えーと、こーやって……短い方ひっぱったら逆にギューってなってしまった。

「こっち。こう引いて、緩めて」
「あ、そっか!取れたっ、取れました!」
「よし。あと、タオル取ってきてくれるか」
「待っ、待って先輩!それっ、おれがやります!!」

やっとネクタイ解いたら、先輩が服も脱がせようとしてた。ボタンをひとつ外したワイシャツからのぞいた肌は汗で濡れてて、いつもは白いのに赤くなっちゃってた。
代わったはいいけど、他人のボタンってすげー外しづらい!指つりそうになりながらぜんぶ外すと、イシカワ先輩はどっかから持ってきた体温計をミズサワの脇に挟んで、ボタンを上ふたつだけ残して閉め直した。

「これで拭いてやってくれるか」
「えっ、あ、ハイッ!!」

いつの間に絞ってきたのか、手渡されたタオルをおでこにあててやると、眉間にキュッて寄ってたシワがちょっとだけ緩んだ気がした。起きるかな、苦しいのかな、冷たいタオル気持ちいいのかな、暑いのかな。

「37.5度」
「先輩っ、コイツ、し、しっ」
「死なねえよ」
「ほんとに?!ですかっ」

ピピッて鳴った体温計を取り出したイシカワ先輩が、ほんとだよって頷いた。

「だ、だって、顔がこんなにポッポしてるし、あっ、してますし!」
「大丈夫」
「だけど…っ、こんなにグッタリしてるし!おでこ熱いし!あ、手も熱い!!熱いです先輩っ」
「うん、フルダテ、声でかい」
「ぜんぜん動かないし、起きないし!!」
「あ、起きた」

マジで?!
慌ててしゃがんで覗き込んだら、ミズサワがぼんやり目を開けてた。
「大丈夫か」って聞かれて、「スイマセン」って答えた声はちっちゃくて、カサカサだ。

「ミズサワ、だいじょーぶ?!」

もう声出すのもしんどいのか、コクンって頷いたけど何にも答えなかった。
目はさっきよりもうるうるしちゃってて、まつげなんかビショビショだ。

「痛い?苦しい?どっ、どーしよう?!」
「フルダテ、落ち着け」
「でもっ!ミズサワがっ!」
「うん、大丈夫だから」

おれが握り締めてたはずのタオルは、気づいたらイシカワ先輩が持ってた。テキパキとミズサワの汗を拭いて、毛布をかけてやって、指先でまぶたをそっと撫でたら、ミズサワはゆっくり目を閉じた。
息がすーすーって、静かになった。

「えっ、ミズサワ、しっ、し?!」
「死んでない、寝てるだけ」
「あ、寝て…そっか、良かったあ…」
「先生呼んでくるから、様子見ててくれるか」
「ハイッ!!任せてください!!」
「…静かにな」
「わっ?!痛ってぇ!!」

立ち上がった瞬間、イスに思いっきり足の小指ぶつけた。
超痛い!つーかおれ、なんで靴履いてねーんだ?!
そっか、着替えてる途中だったから、サッカーソックスのまま来ちゃったんだ。ぜんぜん気づかなかった。
うずくまったおれをイスに座らせて肩をポンと叩いて、イシカワ先輩は保健室を出て行った。
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