ICE CANDY BABY

□風邪ひいた
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季節ハズレにあったかかった今日、なんでかおれは風邪ひいた。




***





日が沈んだあともあったかい空気は残ったままで、いつも以上に体がよく動く。

いい気分で部活を終えた、午後8時。

いつも通りに声をかけてきた、ミズサワ。
ネコ目をなるべく見ないように、答える。


「フルダテ、今日おれんちな!」

「ヤダヨ」

「アイスやるから来いよ!」

「…ヤダ」

「ちょ、待てよ!聞けよ!」

「イヤダ!」

「ガリガリ君の新しい味!あったらやばくねー?!」

「まじっ?!なに味?」

「アップルサイダー!!」



なにそれヤバイちょーうまそう!!




着替えんのも面倒で、ジャージのままチャリに飛び乗ってミズサワの下宿に到着!

「ミズサワ、アイス!!」
「ほら」

よこせ!と差し出した手に乗せられたのは水色のガリガリ君。定番中の定番、ソーダ味。
うん?
おれ、コレ大好きだ。真夏なんか毎日食ってる。

けど今日は、違くて!!


「アップルサイダーは?」
「ねーよ」
「ねーよ?」
「あったらいいなーっていう」
「ん?」
「なんだよ、あるなんて言ってねーじゃんおれ」
「はあ?!」
「つか絶対うまいよなー、想像してみろよ、アップルサイダー」




………間違いない、絶対うまいよ!実在したらな!!


「帰る!!」
「いらねーの?アイス」
「……いるけど」
「座って食ってけばいーじゃん」



くそ、また騙された!!

思い起こされる先週の苦い記憶。同じパターンで、先週はガリガリ君黒蜜きなこ味で騙されたんだった!
でもこればっかりは仕方ないんだ……アイスって言葉出されたら仕方ないんだ。だってアイス大好きなんだ。
ガリガリ君、お前に罪はない。
くれるって言うんだし黙ってもらっておこう。


「あとさあ、ヨーグルト味とかあったら、意外にうまそうじゃねー?」
「あるよ、ヨーグルト味」
「うっそ、まじ?」
「あるある。オレンジヨーグルトとか、ブルーベリーヨーグルトとかもあるよ」
「うわーうまそー!フルダテってあれだなー、アイス博士だなー」
「ちげーよ、おれは、ガリガリ博士だよ!」
「ぶっ、なんだよソレ!」


“あったらいーなー、こんな味”を言い合いながら水色のアイスをかじる。

やっぱウマイ、部活終わりのアイスってまじ最強。ガリガリ君って神様かもしれない。
よし、エネルギー満タン、帰って走って寝よう。

じゃーなとミズサワに声をかけると、おう明日な、とテレビを向いたまま返された。




…結局おれ、何しに来たんだろ。
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