ICE CANDY BABY

□とどめをハデにくれ
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とりあえずバカなんだ、フルダテは。





サッカーうまいねとかカンタンに言うんじゃねーよ。
うまいんじゃなくてうまくなったんだよ、どんだけ努力してきたと思ってんだ。


思わず、お前はへただなって言ったら、わかってるよってやけにあっさり答えた。
すげーブサイクでもないけどすげー整ってるわけでもない、愛嬌だけはたっぷりある平凡な顔。くりくりした丸い目は、言葉とは裏腹に悔しそうに燃えてた。
そりゃあお前、あの先輩のうまさと比較しちゃったらへただけどさ。自分の実力をぜんぜんわかってないんだ。


痛がって泣きそうな顔をみて、喜んでいるおれのようなやつがいるなんてこと、気づきもしない。


キスがイヤガラセだと思ってる。
だからキスしてやると、キスし返してくる。
そしたら次はなにされるかなんて、ぜんぜん考えもしてない。


扱き合いには慣れさせた。
日焼けした健全なサッカー小僧がおれの下でとんでもなくエロい顔を晒してる。キモチイイとか言い出しやがった。夢中になって腰を振った。一緒くたに握って擦ったら、最短記録を更新する勢いでイッてしまった。
思わず舌打ちが出た。そしたら慌てだした。ミズサワはキモチヨクナイの?って。
何を見たらそんなこと言えるんだ。仕舞いには、おれ舐めてやろうかなんて言い出した。
だれがそんなことお前にやらせるか。叩いてやった。

たまんなくて無理矢理突っ込もうとしたらすげー痛がって暴れた。狭すぎておれも痛かった。先端だけ埋めたとこで諦めて腰を止めた。
思わずため息が出た。そしたらまた慌てだした。キスしてくれたら入るかもとか言い出しやがった。ミズサワのキス気持ちよくて力抜けてフニャフニャするから、とかなんとか。
そしたら余計入んなくなった。おれのがでかくなっちゃったから。気づかれたくなくて叩いてやった。






本当にバカなんだ。

キライだとかムカツクとかウルセーとか言いやがる。

こっちのセリフだよ。

バカすぎてダイキライだ。

一緒にいるとムカつくし、イライラするし、ウルセー。

ほんとにおれがキライなら、こっちに来なきゃいいんだ。

水色のアイスなんかにごまかされるな。差し出すと、ケロッと機嫌を直して笑う。そんなんでおれを、許してんじゃねえよ。











「う、ぁ…あ、も…やだ……」

お前が悪いんだ。
やだ、なんて、今更だし、口先だけだ。

おれが触ったところから、促されるままにドロドロに溶けてった。

なんてたやすい、体。

きっと、おれ以外にも溶かされる。

頭に浮かんだ言葉に苛立ちを自覚するよりも早く、中に埋めたものを勢いよく奥へと打ち付ける。

始めはあんなにキツかったのに、難無く受け入れて震えるフルダテの体。

「は、ァ…そこ、もっと…、んぁッ、…も、もっと」

もう自分でも何言ってんのかわかってないんだろう。舌もまわってない。
ハフハフと喘ぐみじかい呼吸。涙でビチャビチャになった頬。自分で強く押さえたから、真っ赤になった目尻。シーツを掴んで震える指。

ぜんぶ、嫌がってない。
おれを受け入れてる。 もっと、って欲しがってる。

その証拠に、イイトコロに当てようと自分で腰を動かしてる。

そんなにいいか?
聞くと、ん、と肯定とも否定ともとれる言葉が返ってきた。

あれだけ揺さぶったのにまだ欲しいのか。

シーツから手を離して、おれの二の腕を弱く掴む。
軽く引くような仕草に応えるように、唇で額に触れる。
見た目よりも柔らかい、いつもピョンピョンとはねてる短い黒い髪が汗でしめって張り付いている。
涙の膜がはった目と視線が合う。ユラユラ、ゆれてる、溶けきった目。堪らず、まぶたにも唇を落とす。

後ろがキュッと締まるのを強烈に感じて、誘われるままに壁を押し広げて突き刺す。

「あぁっ、あっ、ん…ぁ」
「きもちいい?」
「いいッ、あ、んッ、イイ……」

ひときわ大きく声をあげて、フルダテは達した。

散々イかせた体は、震えるばかりで精なんかほとんど出ない。じわじわ時間をかけて、先端からにじんでくるだけだ。
収縮する中に我慢なんか出来ず、おれもそのまま奥に放つ。

つながったとこから漏れる、濡れた音を他人事のように聞いてる。




いいって言えよ。もっと言え。おれだけだって言え。


頭のなかにわんわん響く、馬鹿な祈りのような言葉は聞こえなかったふりをして、一旦腰をひいて、また捩込む。

「……ッは、ァ、あッ、あ」

喉も限界を超えたらしい。声は掠れて喘ぐ息にわずかに音がのるだけだ。

顔や腕に比べるとずいぶん白い、胸に吸い付いて跡を残す。きれいに散った赤。すこし眺めてから、日焼けした首にも噛み付く。制服着てもジャージ着ても、見えるところ。

「んっ、ミズサワ…」

そんなささいな刺激にも耐えられないのか、身をよじって逃げを打つ腰をぐっと掴む。
まっすぐな眉が苦痛に歪む。度が過ぎた快感はつらいだけだ。
涙に濡れて、唇を噛んだ顔。
顎を掴んで無理矢理視線を合わせる。


おれを見ろよ。いまお前は、おれに突っ込まれてるんだぞ。
気持ちいいだろ。ドロドロだ。なんの抵抗もなく飲み込んでくの、わかってるか。
お前が悪い。カンタンに落ちてきた、お前が悪いんだ。
受け入れた、お前が悪い。


そんな風に泣くんだったら、いやだって言って殴って蹴り飛ばして、止めさせればよかったんだ。

痛いだろ、苦しいだろ。なんでカンタンにこんなこと、させてるんだ。

やめろって、言えよ。ちゃんと言え。
そしたら、おれだって。











ああ、だけどもうだめだ。手遅れだ。
戻り方なんてもう忘れた。



負けを認めて終わりにしようか。

いやそもそもおれは何と戦ってるんだ。
欲しいって言われて、感じてるこの気持ちの正体がわからない。




ほんと、ムカつく。イライラする。ダイキライ、ダイキライだ。






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