bag of sun

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好きだと言われた。おれだって好きだ。
心からそう、思う。
でも、そのうち、忘れる。


こうして離れてみて。半年っていうのは短いようで、長い。毎日のように顔を合わせていたけど、そんな機会もなくなって。それぞれの道。男を好きになったなんて、一時の迷いだった、なんてことさえも、忘れる。


あいつがおれを忘れたら、きっとまた会える。
仲のよい、友達として。



***


関係をつづける方法なんて、それ以外にあるのか?
自問してはみたが答えは既に出ている。
誰かに問いかけてみる気もない。


だれか一人。まっすぐに愛せる自分でいたい。

そう言い切ったルイがまぶしかった。正直、うらやましいとさえ思った。



結局のところ、おれは自分勝手だ。自分がいちばん大事なのだ。
愛したいどころか、愛されたいと思ってる。
愛せないくせに愛されたいなんて、冗談にもほどがある。
家族もなにもかもを失って以来、だれにも見せてこなかったところも軽々と飛び越えて、まっすぐな気持ちをつたえてきた、あいつ。

こんなおれにはまぶしすぎる。まっすぐになんて到底、向き合えない。




素直なこころを、きれいな気持ちを、いつか大切な人に届けて、きっと幸せになってほしい。

心からそう、思っていたのに。





どうしてこうなった。





***






「サトル!」


声をあげて走ってきたマサヤの姿に、とっさに踵をかえしたが間に合わず、全体重を背中に受けた。

「重い、どけ」
「やだよ逃げるじゃん」

逃げるだろ普通。抱きつかれると分かってる相手が勢いよく走ってきたら。

「こんなに好きなのに」

そんな目でみたってだめだ。




「また撮影抜け出してきたのか」
「ううん今日はもう終わりだって言うから!ダビも連れてきたんだ、仕方なく」
「仕方なくってひどいなあマサヤ。僕が運転してやったんだろう」

言いながらダビは、背中に張り付いたマサヤをはがしてくれた。
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