ランドスライド

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五月。

空が咲きはじめた桜に覆われる。
この道だったな、初めてサトルと話したのは。


短い春休みにできた彼女に、別れようって言ったら泣かれてしまい、つい肩を抱き寄せながらそんなことを思い出してた。






サトルが好きだ。

出会ったときからたぶんずっと。
もちろん好きだから友達やってたわけだけど、そういう好きだけじゃない。

かなり前に若菜に言われたときにはバカにしたけど、この気持ちは恋以外の何物でもない。
バカはおれだ。



自覚してしまえば、納得してスッキリした気持ちもあったけど、同時に失恋も決定だ。

ずっと一緒にいたいから、ずっと友達。
それ以上なに求めてんだよ、と自分に言い聞かせてなんとか関係を保ってる。



最近のおれはいよいよおかしい。

サトルと二人きりになることは極力避けてた。
飲みにとかは行くけど、うちに来るときは必ずもう一人誘った。

冬に付き合ってた彼女には、あのあと割とすぐ振られた。
セックスしてても、仰向けになって腕を伸ばされるとすぐ訳がわからなくなる。
目の前にいるのは彼女なのに、脳裏に浮かぶのはあのときのあいつで。
何となく連絡しづらくなってしまい、いつもの台詞で終わりを告げられる。


付き合って別れてを繰り返してきたけど、いつも振られるばかりで振るのは初めてだ。
彼女の涙をみながら、振られるのはなんて楽だったんだろうと思い返す。



いつだって応じる気持ちがなかった。好きって気持ちをたぶん知らなかった。
好きって気持ちを自覚して、大きく育ってくほど、辛かった。



でも隠していく自信はあった。


伝えてしまったら最後。
何もかも消えてしまうし、後悔しか残らないだろうってことくらい、バカなおれでもかんたんに想像がつく。
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