ランドスライド

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思ってること顔に出やすいよね、とよく人に言われるおれにしては、うまいこと接してたと思う。


友達になろうと決めたとはいえ、かんたんに割り切れない気持ちが見えてしまわないように、距離を置く。
不自然ではないくらいに、さりげなく。
なにか言いたげな黒い瞳をまっすぐみることを避けた。

そうしたら、今まで見えてなかったいろんなことに気づく。

これまでどんだけサトルのことしか、というか自分の恋にしか興味がなかったのかってこと。
いつまでもバカやってる友達、という関係を築けるのは、大学生といういまの身分があってこそだということ。

繰り返す季節は同じようでいて、ぜんぜん違っていくということ。

気づいていないのはおればかりだったのか。



「おれ留学考えてて」


秋の始まりに、サトルはあっさりそう言った。

地球の反対側へ。
いつ戻ってくるかもわからないという。

でもいま四年制大学の二年生だから、少なくともあと二年は向こうで過ごすことになるんじゃないだろうか。
おれの手の届かないところへ行ってしまう。


躊躇わず、ぜんぶ一人で決めてしまうんだ。サトルはいつもそうだ。

迷いとか、きっとあるんだろうけどけして見せてはくれない。

それでも、おれに笑いかけてくれるから、いつか見せてくれるんじゃないか、と期待せずにはいられないのだ。






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