イナズマイレブン小説

□やかましさん
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「やかましー!」


雷門中の隅にあるは、我がサッカー部の部室である。
昼間でありながら中は地味に暗く、決して心地好くくつろげる場所ではない。
そんな部室に今日もサッカーの特訓をすべく通う俺の足は、マックスのその一声で途端に止まる。

「その呼び方やめてくれませんか」

茶化す様に『やかまし』と呼ぶマックスに、冷ややかな声でそう言ったのは音無だ。
『やかましい』と『おとなし』で『やかまし』か。
何となく言葉の並びに笑いが込み上げてくる。
その笑いを堪えながら、俺は部室のドアを開ける。

弾かれる様に振り向く音無は、笑顔で「こんにちは」と言った。

「外まで聞こえてたぞ」

本人を目の前にして堪えられなくなった笑いをこぼしながら、俺はそれだけ言った。
今俺、どんな顔してるかな。

音無は最初、何の事だろうとあっけらかんとした顔をしていた。
やがて俺の言っている事を理解したのか、顔を赤らめてそれからマックスを睨みつけた。
マックスはと言うと、謝るそぶりも見せず肩をすくめるだけだった。

「やかましか…そんなにやかましいのか?音無は」
「そりゃあもちろん」
「松野先輩!!」

「ほらな」とケラケラ笑うマックスに音無はさらに顔を赤くして怒る。
俺は鞄を無造作に置きながら、その様子を眺めていた。
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