ミルトニア

□涙
1ページ/1ページ


2人で観ている映画。
涙脆い私はクライマックス近くにて号泣。
もはや視界が滲んで画面が見えない。

そんな私に彼は軽く引いているらしい。


「…どうして泣く?」

「うえ?だって、切な…切なかったじゃない」

「切ないねぇ…」


どこか腑に落ちないらしい。
あそこがこうであれで泣けたと語っても反応なし。

頬杖ついて冷めた目で画面を眺めている…冷徹ドS男め。


「やっぱわかんねぇな」

「…泣け、ないの?」

「ん?」

「泣かない、のか、泣け…ないのか」


グスっとなりながらも言葉を絞り出す。
これは大切なことだ。

もはや映画はクライマックスを終えエンドローム。
ちゃんとは観れなかったけれど仕方ない。

彼の視線が画面からゆっくりと私に移った。


「わかんねぇ…考えたこともないしな…」


きゅっと瞼をつぶれば頬がさらに濡れていった。


「ひやっ…!」

そんな頬に違う感触。
っていうか、

「舐め!?」

息がかかると言ってもいい至近距離。頭はがっちり拘束されてる。


「ただ…お前が泣いているのは…」


ほんとに聴こえるか聴こえないかのような声で言われた言葉。


「…なんか嫌だ」













(気持ちが溢れる)






(だから泣き止め)

(そんな簡単には…)

(じゃぁ頂きます)

(!?)











[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ