ミルトニア

□お手伝い
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電灯だけでは暗い場所も今日は明るく照らされている。

そんな満月の夜。

「……」

「……」

彼の目も赤く光っていました。


「…どしたの?」

「…」


眉間の皺…はいつものことではあるんだが。
いつもよりなんか深い感じがする。

マジでどしたんだ。


「…」


なんだろう。前にもこんなことがあったようななかったような。

うーんと。

「新月の時だったっけ…」

ぴくり、と彼の肩が揺れた。

そうだ…あの夜もこんな目をしてた。

となると…私は身の危険を感じた。
新月の時、彼は飢えを我慢出来なくなるらしい。詳しくは聞いてないから予想でしかないけれど。

今回もってことかな。


ひとりでテンパっていると、ククという笑い声。

「んな警戒しなくても襲わねぇ」

「そ、そんな目で言われても説得力ないし!」

「あ゛ー…」


手で目を覆い下を向いた彼はまるでこの世に絶望しているよう。


「新月の時は飢えが強くなるんだが…満月は魔力を強くする」

「魔力?」

「あぁ」


ゆっくり顔をあげ再び開かれた目からは未だに光が放たれている。

ずっと光続けているもんだから、少し心配。


「大丈夫なの?」


…しまった。後悔先に立たず。
彼の口角がきれいにつり上がった。


「へぇ。心配してくれんだ?」

「…そりゃぁまぁ……」

「ククッ…じゃぁ手伝ってもらおーか」


目が近づいてこいって、言ってる。

まったくもっておかしい。
こっちは血を捧げてやろうって側なのに、どうして自分から血の吸いやすいところに動かなければならないんだ!
って移動してる私も私なんだけど…。

「はい」

首を差し出すっていうのはなかなか恥ずかしい。
ぎゅっと恥ずかしさを殺すように目を瞑る。


「…ん!?ちょ、っ」


首筋に来ると思っていた感覚が訪れず、代わりに訪れたのは唇。

「待っ……はっ…」

ただでさえ混乱しているのに止めてもらえない口づけは、さらに思考を混乱させた。

私に酸欠が訪れた頃、いつもの目に戻った彼。

力が抜けた私は彼に抱き止められた。


「魔力減らすには、使う以外にこれが一番てっとりばやい。
だが…生気を吸いとった覚えはねぇ」

「さいってー」


力なく発した言葉は彼の胸に吸いとられた。









お手伝い
(1人で溜め込まないで)






(キスするならするって言ってよ)

(あ?言ったらさせてくれたのか?)

(…)











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