誰も知らない物語2 完全版

□5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
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「……じゃあ、……じゃあお姉ちゃんを追っている悪の組織って……。……NWG?」

恐る恐る口を開くタカナオに、リョウスケは「ああ」と返事した。

「正式には『North Wind Group』。NWGはその略だ。訳すと『北風集団』」

つまり目的の意味が込められていたのだ。

「約束した人って言うのは誰なのよ?」
「シャイルさんって言う人。後、仲間にマルナって奴がいた。マルナとは、タカナオは会ってる」

リョウスケの言葉に、タカナオは「え?」聞き返した。マルナという人物など、聞き覚えがない。

「ほら、最初この世界に来る前にリングマで襲ってきた奴だよ」
「え……。あの人?!」

目をパチクリさせ、リョウスケに言う。

「そう。あいつだ。だから、お前は安全だったんだよ、どっちにしろな」

タカナオはため息をついた。そういうのは先に言って欲しい。

「今、その人達は?」
「……同じく裏切り者になってる。多分、サトシさんとシゲルさんが追っているのは、その二人だ」

ニビジムのことを思い出す。そういえば、二人のことを聞いた途端、リョウスケの様子が変になっていた。

「え。だったら居場所がわかるじゃないのよ……。早くサトシさんとシゲルさんに連絡……」

ヒナはそう言った所で口を噤んだ。リョウスケが言いたくないのがわかったからだ。リョウスケがこのことを話せば、サトシ達でも許してくれないのではないだろうか。

「わりぃ。言いたくないのもあんだけど、最近、連絡が取れねぇんだ。だから俺も、二人の居場所はわからない。……んで、他に聞きたいことはあるか?」

リョウスケは、少し不安げな表情のタカナオとヒナに聞いた。そう聞かれた二人は顔を見合わせると表情を和らげた。

「良いよ。僕達……、リョウスケを信じてるから」
「お前ら……」
「だから、言いたくないなら無理に言わなくて良いわ。この事……、隠していたかったら、私達だけの秘密にしても良いし……、ね?」

二人は、彼に言いたいことを言うとニコッと笑った。リョウスケだって辛かったのだ。理由を知り、裏切られたという気持ちはなくなっていた。二人の気持ちが嬉しくて、リョウスケも笑い返す。

「じゃあ行こう」

そして、タカナオ達はハナダシティへ向かい始めた。リョウスケが一番重要な事を黙っているとも知らずに……。


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