誰も知らない物語2 完全版

□5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
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「あの、すみません」

サトシが、一人のおばあさんに話しかけた。おばあさんはピンピンしており、元気良さそうに、「何じゃ?」と聞いてきた。

ミズカを探しているサトシとシゲルは、トキワシティにいた。理由はトキワの森で変な少年がタカナオのことを知っていたから。タカナオのことは、そんなにニュースで流れていない。つまり組織の一員が噂を流している可能性がある。

組織が近辺を探っているなら、ミズカが近くにいてもおかしくはない。
 
「僕達、仲間を探しているんですが、ミズカという女の子を知りませんか? 北風使いの生まれ変わりの子なんですが……」

シゲルが聞くと、おばあさんは首を横に振った。それを聞いて、サトシはため息をつく。

北風使いについては、多分、カントー地方全域に知れ渡っている。しかし、知っていても、自分達の知っていることくらいしか、わかっていない人が大半だ。

近くにいてもおかしくはない。しかし、手掛かりはない。

「そうですか。ありがとうござ……」
「北風使いの生まれ変わりを探しておるんじゃな?」

シゲルが礼を言おうとすると、おばあさんはそれを遮った。遮られて驚いた二人は顔を見合わせる。

「北風使いのことについて、調べている二人組の奴じゃったかな。数日前におった。そやつらを追いかければ、何か知っておるかもしれん」

おばあさんの言葉に道が開けた気がした。もしかしたら、その二人はミズカに会っているかもしれない。それに、北風使いについても自分達より知っている可能性がある。

もっと言えば、協力してもらえる可能性だってあるのだ。逆に、組織の一員で敵だというのも考えられるが、組織についても知りたいところだ。どちらにしろ追いかける以外の選択肢はない。

「その人達はどんな容姿でしたか?」
「一人は、黒いコートに顔を隠した者、もう一人は、金髪のツインテールのオナゴじゃった」
「歳は?」

容姿を聞いて身を乗り出すようにサトシが聞いた。

「オナゴの方は、十三、四。もう一人は顔を隠しておったから、ワシにはよく……」

おばあさんは、黒いコートの人を思い出そうとしているのだろう。腕を組んで考える。

「多分、お前さん達と同じくらいじゃな。性別はわからんが、男みたいな口調じゃった。そやつらはハナダシティら辺を目指しているはずじゃよ」

それを聞き、二人は大きくお辞儀をしておばあさんと別れた。ハナダシティに向かったということは、ニビシティを挟んでいる。彼らはニビシティにあるニビジムへ連絡をいれた。電話は、テレビ電話になっている。
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