誰も知らない物語2 完全版
□5章 初めてのジム戦、リョウスケの苦悩
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「わかってるわよ。リョウスケのことは信じてるわ! だけど、今は最悪な状況も考えないといけないの! あたしの……。あたしの役目は、君を守ることなんだから」
ヒナの目から涙がボロボロ溢れてきた。リョウスケを信じてはいる。トレーナーズスクールからの仲だ。旅立ちの日も彼と一緒だった。どちらが何のポケモンを選ぶかで揉めたこともあった。
それぞれの志は違っても、互いに応援していたし、連絡も取っていた。ヒナにとっては大切な友人だ。そのため、彼が組織に戻るとは全く考えていない。
しかし、もし万が一、彼が敵に負けてしまっていたら、タカナオは今より危険な状況に立たされる。そして何より、ヒナが一人で彼を守らなければならない。
「ハナダシティへ行って……、カスミさんの所へ行くのが今一番良い選択なの」
声は震えていた。タカナオは何も言えなくなり、黙りこくる。
「悪かったな。黙ってて」
そんな暗い表情の二人の後ろから声がした。リョウスケである。彼は、少し後ろめたそうな表情を浮かべるも、二人の目の前に来た。二人は少し驚いたらしく、まじまじと彼を見る。しかし、目は逸らされた。
「……ある人との約束だったんだ。敵にこのことをバラされるまで、絶対に話さねぇって……」
「……どうしてそんなことをする必要があったのよ」
「最初から全て話したら、絶対、タカナオを守る役目をやらせてもらえないと思ったんだ。その人とは他にタカナオを守ること。そして、破滅の鍵を探すことを約束してるから」
ヒナに聞かれ、ちゃんと答えた。シャイルには、バレた時点で自分のこと以外のすべてのことを話しても良いと言われている。あまり話して欲しくはなさそうだったが。
「破滅の鍵って……。北風使いしか見つけることが出来ないんじゃ……」
「迷信かもしれないだろ? だから、とりあえず探すように言われてんだ」
リョウスケの言葉に、タカナオは少し顔を歪めた。もしも迷信で鍵が見つかりでもしたら、大変なことになると思ったからだ。
「どうして組織に入ってたの?」
タカナオが一番聞きたい質問をした。彼は、顔を歪めると、荷物から手紙を出して、二人に見せた。その手紙は、両親が捕まった時、ポッポから渡されたものである。
『リーグ優勝者、リョウスケへ
この度は、お前の両親を頂戴することにした。助けたいのなら、我が組織、NWGに加入してもらいたい。安心しろ、NWGに加入し、任務を最後までこなせば、お前の両親は返してやる』
二人は読むと、驚いた表情でリョウスケを見た。彼は目を逸らす。
「NWGって……。まさか……」
タカナオが震えた声で聞いた。リョウスケは頷く。二人ともリョウスケの両親に関しては納得いっていなかった部分があった。この手紙から、何が起こったのか把握し、納得する。
それよりもNWGという文字に驚いた。一瞬目を疑ったが間違いない。NWGと書いてある。