誰も知らない物語2 完全版
□6章 ハナダジムの戦い
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「ちなみに、あたしの師匠は君がアニメで見てると思うわよ」
ヒナに言われ、タカナオはすぐに誰を指しているのかわかり、驚いた表情で彼女を見た。ヒナはニヤリと笑う。
「それ、ひょっとして……」
「あの!! ヒナさんにリョウスケさんですか!?」
タカナオがヒナの師匠を聞こうと口を開くが遮られた。遮った人物が二人のファンなのは言うまでもない。リョウスケは、ほらなとヒナを睨んだ。彼はこういう事が嫌いらしい。
ファンは二人とも女性である。彼女達は目を輝かせて、ヒナとリョウスケを見た。
「あの! 私達、ファンなんです!!」
「それで、この雑誌にサインお願いします!!」
二人が差し出した雑誌は『POKEMON TRAINERS』と言うもの。名前の通り、数々のポケモントレーナー達を紹介している雑誌だ。リョウスケとヒナは内心困りつつも笑って見せ、サインした。
「わぁ、有難うございます!」
ファンの二人はお辞儀をすると去って行った。リョウスケは大きくため息をつく。
「二人とも、列が進んだよ」
タカナオが言うと、リョウスケとヒナは少し解放された気分になり、「ほんとだ」と声を揃えて言った。先程の小さい女の子も嬉しそうに進んでいる。入口まで行くと、カスミがいた。まだ準備をしてないらしく、普段着である。カスミは、タカナオ達に気がつくと、近寄ってきた。
「いらっしゃい」
ニコッと笑いかけたカスミに、3人も挨拶をする。
「さ、中に入って」
カスミは他の客を気にせず、彼らをジムの中に入れると客室へ案内した。途中、彼女の姉達がいないことに気づき、ヒナが聞くと旅行中だと言われた。客室に入ると驚いた事に、カスミと同い年くらいの女性が二人おり、興味津々といった表情でタカナオを見ている。
この二人こそが、ヒナの師匠である。
「お久しぶりです! ハルカさん。ヒカリさん」
嬉しそうに、ヒナが話しかけると、ハルカとヒカリは、ニコッと笑う。
「相変わらず、元気そうかも!」
ハルカが言う。タカナオには、ハルカもヒカリもちゃんと覚えがあった。アニメで見ていたヒロイン達だ。先程の会話で予想はついていたが、客室にいるとは思わなかった。
「リョウスケも久しぶりね」
ヒカリが黙っていたリョウスケに話しかけた。彼は口角を上げると、「お久しぶりです」と返した。
「それで……」
「貴方が、タカナオかも!」
ヒナがタカナオを紹介しようとするが、ハルカに遮られた。ヒカリも参加してくる。
「やっぱり、似てるのね!」
「あ、あの……」
「大丈夫! 別に悪い意味じゃないから」
ヒカリがキラキラした瞳で迫ってくる。何を言っているのだろうか。妙にテンションが高いヒカリとハルカに、タカナオはついていけない。
「いや……、その……」
対応の仕方がわからない。何か言わなければと思うが、言葉が浮かばない。
「二人とも、タカナオが困ってるわよ」
そう言いながら、カスミはお茶を出した。ハルカとヒカリは苦笑する。